第六十話 彼女をスポーツヨットに

ドライブに行くならセダンよりスポーツカーの方が良い。それは格好良いだけ
じゃないし、スポーツカーは重心も低いので、速く走れるというのに対応した
造りになっている。セダンでも悪くは無いが、フィーリング、ドライブ感が違う。

スポーツカーは2シーターで二人しか乗れないが、スポーツヨットはもっと乗れる
し、キャビンだって充分にある。性能は良いし、安定性のあるヨットなら、快適
にシングルハンドでもこなせる。そういうヨットに、彼女招待しましょう。オーソドッ
クスなセダンより、遥かに面白い。セダンは家に近いが、おしゃれなスポーツ
ヨットは異次元空間です。この異次元というのが遊びには必要なのです。生活
するのとは違う。生活しないから、異次元の方が良い。

スポーツヨットで速ければ何でも良いというわけではありません。それなりが必
要です。それさえあれば、快走が味わえる。彼女だって、ただコクピットに座って
いるだけでは、1時間もすれば退屈になる。良いヨットはバランスも良い、ラット
も軽いので、彼女に舵を握らせて、ドライブ感を味わってもらいましょう。そして
オーナーはセールをトリム、彼女にもヨットを覚えてもらう。そうすると、彼女も
退屈しません。男だけじゃなく、子供も女性も操縦する事は好きなようです。
アドバイスをしながら、ちょっと右、左、切りすぎ、そんな事しながら、彼女は少し
づつ感覚的に解ってくる。だから、彼女も楽しめるのです。だいたい、座って
乗せてもらってるだけで面白いのは、最初の1,2回ぐらいのもんでしょう。女性
は日に焼けるから嫌とか言いますが、面白かったら乗るでしょう。退屈になるか
ら嫌なんです。ただ座ってるだけじゃもちません。いくらヨットの異次元空間でも
です。

これは家族でも同じだと思います。それじゃセダンでも良いじゃないか、という話
になりますが、そうでは無いんです。遊びはセダンよりスポーツの方が面白いの
です。スポーツヨットと言っても、レーサーのように大人数を要するのはいけませ
ん。シングルで、或いはせいぜいダブルハンドで楽に操船できて、なおかつ走る
ヨット、帆走が楽しいヨットが良いのです。だって、家族全員が乗れればセダン
である必要性など全く無いでしょう。安定性があって、走る方が良いでしょう。
走るたって、セダンの2倍も3倍も速いわけではありません。同じ風でほんの
わずかでしょう、でもそのわずかが非常に良いのです。グッドフィーリングを与えて
くれます。そしてバランスの良いヨットなら、舵も軽いし、軽いから舵に伝わる波の
感覚も良く伝わってくる。

家族で、彼女と、大旅行でも企てるのなら話は別ですが、沿岸セーリングなら、
ちょっとロングでも、スポーツヨットの方が面白い。ヨットはセダンである必要性と
いうのは非常に少ないと思うのです。特に日本ではそうです。何故か?海外では
セダンを住居に近い使い方をするからです。週末のパーティー、アンカー打って
海水浴、読書、編み物だってやります。サイドデッキに鉢植えの花を飾っている
奴も居た。海外のマリーナは本当に楽しめる長期滞在型のリゾート地のようです。

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