第五話 ヨットとの関係

ヨットの稼働率が悪い割には、大きなヨットが求められる傾向にあります。前にも
書きましたが、今時、21フィートなど求める方は非常に稀です。まあ、そういうサ
イズの良いのがなかなか無いというのもありますが、あまり使わない割には、あれ
もこれもとなる。

ノルディックフォーク25は何も無いヨットです。でも、今から発注しても1年の納期が
かかる。つまり、1年分は既に予約済みなのです。欧米では確かにスーパーヨット
がたくさんありますが、同時に、こういうヨットもたくさんある。つまり、自分とヨットと
の関係、どんな風にヨットと関わりたいかが、みんな自分で解っているのではないか
と思うのです。予算の関係もありますが、決してそれだけでは無い。どんな風にヨット
と接すれば、自分が最も楽しめるのかが解っているのだと思います。隣を見れば、エ
アコン付きのでかいヨット、でも自分がそれを持って楽しめるかどうかは別です。

大きなヨットで快適居住空間のヨットは既にたくさんあります。ですから今更どうこう言う
必要は無い。そこで、提案したいのは、また別の乗り方です。それが何度も言ってい
ます近場のセーリングなのです。それをいかに気楽に、滑らかに、快適の乗れるか
そうするといかに楽しいか、そういう事を知って頂きたい。キャンピングカーばかりでは
無く、スポーツカーもあれば、バイク、自転車もある。そのどれかが、他より優れている
という事は無く、それぞれに固有の楽しみがある。自転車で日本一周するのはしんどい
です。キャンピングカーで近所を走り回るのもしんどい。スポーツカーでは2人しか乗れ
ないけどもスポーツ性の走りはたまらない。それぞれには、それぞれの楽しみ方があり
それに合う乗り方をすれば最高の味わいとなります。つまり、キャンピングカー的なヨット
ばかりがヨットでは無い。自転車風、バイク風、スポーツカー風、そういうヨットもあるし、
そういう乗り方の方が今の日本にはもっと増えるべきではないかと思います。何故なら
その方が気楽にヨットと付き合えるからです。

ヨットは単なる道具ですから、道具に振り回されては自分スタイルは守れない。ヨットで
どんな遊び方をしたいか、それにヨットを合わせる方が良いと思います。そうしたら、どん
なヨットが良いか、何が必要で何が不要か、スッキリしてきます。日本の習慣、環境、
などを考えると、もっともっと近場のセーリングを充実させた方がきっと楽しくなると思い
ます。遠くを夢見るのも良いですが、それより、今できる事、誰でもできる事、そういう事
はつまらない事では無く、それらが充実すれば日常的に、その素晴らしさが味わえる。
そういう今できる事を充実させるべきと思うのですが。

こう思って、欧米も同じように、そういう考え方が多くなってきているのではないかと思う
のです。デイセーリングヨットの台頭、それが何よりの証拠です。50フィートのヨットに乗れ
ばそれは快適です。でも、気軽さが無くなる。50フィートに年5回乗るより、25フィートに
50回乗った方がどれだけ面白いか。50フィートは要らないとは言いません。それらをどん
どん乗れる方は良い。でも、気軽にに乗れるヨットはもっともっと多くなるべきではないかと
思う次第です。実際、ダブルハンドですが、53フィートに随分、日常的に乗っていました。
その気になれば、大きなヨットでも気楽に出す事はできます。でも、よっぽど時間があって、
深く関わっていかないと、なかなか気楽にとはいきません。年に2,3回でもオーナーの勝手
と言えばそうですが、こういうケースが一般的使い方ではいけません。

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