第九十八話 価格について

我々輸入業者の宿命ですが、常にドルとユーロの変動に悩まされます。この外国為替だけは
どうしようも無い。以前は日本販売定価を設定した事もあるのですが、これだとどうしても高い
為替レートにしないと、万一為替変動によって、為替差損が出たら困ります。でも、反面、これ
を避けようと思うと販売定価を高く設定せざるを得なくなります。私共の取り扱い艇は、どれも
大量生産艇より少し値段が高いので、できるだけこれも避けたいと思っています。

私はヨットの販売が仕事ですから、仕事から利益を得る会社であります。ですから、為替から
利益を得る必要は全くありません。反面、為替から損も出したくはありません。そこで、販売
価格を現地通貨のままで出す事にしています。ところが、そうすると、為替の変動リスクが
私共には無いかわりに、お客様にでてくる事になります。これでは不公平といえるかもしれま
せんが、でも、実際は日本円定価設定の方が高くなりますので、お客様にとっても利益となり
ます。ただ、そうだからと言って、変動する為替を見ながら、購入するというのも、精神的には
良くありませんので、お客様にとって、為替を固定できれば、問題は無い。

私共では、3つの口座を持っています。日本円、米ドル、そしてユーロです。これで、どの通貨
でもお支払い頂けるようにしています。お客様が為替を固定したい場合、その時点で、ドル
にしろ、ユーロにしろ、購入して、自分の口座に入れておけば、その時点で為替は固定されま
す。その中から、必要な分だけを引き出して、日本円に変えずに、外国通貨のままお支払い
頂けます。

ただ、この場合、その後円高に動いた場合は、損したな、と思われるかもしれませんし、逆に
円安になれば、助かったと思われるかもしれませんが、少なくとも、為替は固定されますので
それ以上でも以下でも無い。或いは、為替変動の読みに自信がある方は、固定せずに遊んで
見る事もできますが、まあ、あまりお奨めはしません。

少なくとも、このやり方はお客様にとっても、私共にとっても、今の所、良い方法ではないかと思
っていますが、今後、もっと良い方法があれば、また進化していくかもしれません。ヨットの重要
な要素は、価格、品質、コンセプトだと思いますが、品質とコンセプトは造船所が造りますので、
まあ、価格もそうなんですが、我々業者も関わっていますので、いろいろ考えた末の私共のやり
方です。詳細については、その都度充分ご説明致しております。フェアーだと思うんですが。

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