第四十七話 セーリング
| セーリングを重視するにあたって、必要な事は、自分がそのヨットでセーリングしている 状況を想像してみる事だ。シュミレーションである。これは経験が無いとできない事だが 経験ある方は、そうやって、自分が舵を握って、こういう場面の時はこうする、ああする。 そういう行為がし易い艤装か、或いは、そのように変更できるか。これらはクルーが居る いないに多いに関係してくるので、一概には言えないが、でも、数多くのクルーを抱えて いるクルージングヨットは皆無に等しいので、ダブルハンドかシングルハンドとふたつに わけて考えておいて良いと思う。クルーが不足していても、少なくとも二人居れば快適 に走れるという考え方を持つ。或いは、もっと進んで、仮にクルーが全く来れなくても、 シングルでも快走できるという考え方を持つのは、オールマイティーになる。自分のヨット ライフがクルーに左右される事無く、自分の意思でどうにでもできる。これが最高だと思う そうしたら、クルーが来なくても出れない事は無くなり、全く動かない奥さんがきても、へっ ちゃらだし、ゲストを呼んでも、快適に楽しんで頂ける。もちろん、アフターセーリングも充実 します。ゲストはアフターセーリングを楽しみたいというより、快適な爽やかなセーリングを 経験してみたいと思う。それが第一でしょう。でなければ、あなたとお茶か食事をしたいの なら気の利いたレストランの方が良いのです。セーリングの後に気軽にお茶を、ヘビーな 食事なら、レストランに行きましょう。ヨットではピザの出前を取る程度で良いのです。後片 付けもし無くて良い。 二人居れば、たいていのヨットでセーリングができます。一人は舵を握り、もう一人はセー ルで遊ぶ。私の経験から言いますと、かなりでかいヨットでも二人居ればOKでしょう。もちろ ん、体力的な事とかもありますので、でかいヨットはセールもでかい、それに応じたパワー も必要となる。でも、これとて、現代の技術を使えば、電動ウィンチやメインファーラーの採用 によって、楽にセーリングができる。だから、でかいヨットを考える場合は、ダブルハンドで、 自分達の体力面、加齢による将来の体力の衰えをも考えるなら、そういう装備を考えるのも 良いと思う。ショートクルージングにおいては、ロングとは違い、タッキング回数が増え、セー ルのトリミングも増え、また、それが面白いのだが、それをいかにやるかを考慮しておくのが 良い。 ダブルハンドを想定した場合、ウィンチの位置はヘルムスマンから離れていた方が、クルー がウィンチを回す時に位置が取りやすい。でも、メインシートはコクピットにあった方が良いと 思います。その方が使いやすい。クルーが、大人数居ると一度機にさ〜っとできる ものが、ひとつづつ順番にする。それだけです。スピード計やデプス、風向風速計をラットの 前のピデスタルガードに設置するのが流行っていますが、これではヘルムスマンにしか見え ない。コクピットに居る皆が見えた方が良い。シート操作するクルーがスピードメーターを見て 操作の結果が出るからです。もちろん、ヘルムスマンからも見える。皆が見える。 ヨットは舵を操作する以外に、シート、トラックにあるブロックの位置、アウトホール、バング、 船によってはカニンガム、ハリヤード、バックステーアジャスター、等々の操作をして、セール を造る。それが、滑らかさを生み出します。これら操作をどう分担するか、舵以外の全てを クルーにやらせるのでは無く、バックスステーとメインシートは舵を持ったままできる。ジブ シートとその他をクルーにやらせる。つまり、舵をもったまま届く範囲になろうかと思います。 この点、メインシートトラックはコクピットにあった方が良い。片手でできる。これがキャビン天 井の上なら、ストッパーをフリーにして、ウィンチに巻いて滑らせる。ブームの中央から取っている ので、てこの原理で、ブームエンドにあるより、力が必要です。タッキング時はブームが船体 中央に近い位置なのでブームの振り幅は狭いが、ジャイブとなると、ブームは大きく振れる。 クルーはジェノアを返し、ヘルムスマンはメインを返す。まあ、これとて、でかいヨットになると、 舵を持ったまま、片手でひょいというわけには行かないかもしれない。そういうでかいヨットは もう一人クルーを確保するか、或いは電動ウィンチなどを使っても良い。でも、まあ、ダブルハンド であれば、たいていのヨットは操船できるし、快走もできる。 これがシングルハンドになると、状況は変わる。オートパイロットさえ使えば、できるとは言うもの の、セーリングを楽しむというショートクルージングにおいては、できるだけオートパイロットは使い たくは無い。ロングクルージングをシングルで楽しむ時には多いに使う。それで、舵を持ったまま、 どれだけの操作ができるのか？それに、ダブルハンド以上に、スタビリティーは大きく影響する。 ヨットによっては、ちょっとしたブローで大きく簡単にヒールしてしまうものがある。シングルの場合 はちょっと慌てる事になる。だから、シングルの場合はスタビリティーもダブル以上に重要ではない かと思う。 |