第四十話 シンプルヨット

最近は特にシンプルなヨットが好きになってきました。何も便利な物が無くても、シンプル
であるだけ気を使わなくても良いし、とにかくよりセーリングが楽しめる。それで選んできた
のがノルディックフォーク、アレリオンやM36などです。デザインは美しくなければいけない
と個人的には思っています。でも、装備はシンプルで気軽に出せるのがベストと思ってい
ます。これらのヨットはそういうヨットです。ヨットに全てを求めて、便利さと快適さを求める
対象ではありません。これらのヨットは家では無いし、別荘でも無い。純粋にヨットなのです

セーリングを楽しむ為のヨット。それで充分だと思うようになってきました。ただ、より良い
セーリングを楽しむ為にはそのヨットの性能も必要です。これは単純に速いか遅いかの
問題では無く、自分のコンセプト合ったヨットという事になります。もちろん、速いにこした事
は無い。でも、その為に波に叩きやすいとか、スタビリティーに欠けるとか、そういう事は
見逃せません。そういうトータルな性能を踏まえて、自分の気に入ったデザインなら良い。

多少キャビンが狭くても、電動のプレッシャーポンプが無くても、冷蔵庫が無くても、温水
が出なくても、シャワーが無くても、一向に構わない。そんな物はいくらでも代用がある。
それより、良い艤装と良いセールで最高のセーリングを味わった方がどんなにか面白い
だろう。シンプルだから自分でメインテナンスも殆どできるし、自分のヨットに精通できる。
美しいデザインだからいつまでたってもきれいにしてやろうという気にもなる。そうやって乗
っていけば、どんな走りをするかも解ってくる。自分のヨットの最高のコンディションを体感
できる。それを一旦体感すると、自分のヨットのほんのわずかな違いも自然に感じられて
くる。自分の腕が上がったり、ヨットのコンディションがいつもと違うとか、そういう事がすぐに
感じられる。こういう事は面白いに繋がる。

レース勝ったり負けたりというヨットもあるだろうが、スポーツクルージング派にはこういう醍
醐味がある。どこかに行くだけがヨットでは無い。これを実行するにセーリングのエキスパート
である必要も無い。全くの素人でも、頭と心さえあれば、誰でもできる。

モーターボートは何かをする為にある。釣りを楽しむ為には良い。だから、釣りボートは多い
し、稼働率も高い。でも、ヨットはセーリングを楽しむものだと思うが、それを目的にしない人が
多い。便利さと、移動手段とする人が多い。便利さは陸上の方が便利だし、移動手段は車の
方が便利です。何故故ヨットに乗らないといけないのか。便利さなら、あきらかにヨットは便利
さの点では劣る。ヨットに便利さを求めて乗るわけでは無いのです。陸では味わえない面白さ
を求めているわけですから、何をおいてもいかにセーリングをするかを第一と考えた方が良い
と思うのです。そうするとヨットはシンプルで良いとなる。

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