第十七話 自由自在の気分


      

 
美しいデザイン、気に入ったデザイン、そんなヨットを自由自在に走らせる事ができれば、もう遊びとしてはそれで充分なのではないかと思います。自由自在とそのフィーリングが大事なのです。性能と質はその為、ヨットのサイズじゃ無いんです。どれだけ自由自在なのかです。

自由自在になれるのなら、50フィートだって構わない。しかし、そうじゃ無いなら、30フィートを自由自在になった方が面白い。50フィートにスラスター付けようが、何を付けようが、理屈では簡単操作に思えるが、実際は気楽に自由自在にはなれない。なれる人はスラスター無しでも自由自在になれる。

ヨットもボートもサイズで乗るのでは無く、自由自在で乗りたいと思います。その方が絶対面白い。海の遥か向こうの外洋を何日も走るなら、でかい方が良いに決まってます。でも、沿岸なら、サイズじゃ無くて、自分の自由自在で乗った方が良いと思います。

自由自在になれたら、本当の意味で遊ぶ事ができます。移動では無くて、走るだけでは無くて、ちょっといろんな事を試したり、何かあっても臨機応変になれたり、どうにでも対応ができる。その自由自在と感覚こそが面白さを生み出します。

とは言っても、最初から自由自在な人は居ません。徐々に何度も乗って上手くなる。その上達のプロセスが面白い。自由になって行く感覚が自分でも解ります。結局、ヨット遊びって、究極的には何かをするとかでは無く、自分自身を育てていくプロセスとその味わいなのではなかろうか?旅にしたって、どこかに行ったことがあると言うのでは無く、そこに行った時の味わいの方が重要なのだろうと思います。ハイスピードが重要なのでは無く、その時のフィーリングこそが心に残る。人生は味わい、フィーリングだと思います。だから、自由自在になった方が良い。

ヨットやボートで重要なのは気分だと思います。だから、気に入った美しいヨットが良い。それも気分です。性能も質も,自分の知識も技術も気分の為。どうせ何の役にも立たないのですから。だからこそ、気分が重要で、それは何かの役に立つより重要です。人生は気分、味わいだと思います。

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