第三話 旅、セーリング、レース OR ?


      

 
近年の主流は旅でも無く、セーリングでも、レースでも無いのかもしれない。では、何か? 恐らく、快適に過ごす事、楽しい時を持つ事、多くが求める事はそれかもしれない。考えてみたら、何かを求め続ける事は面白いに違い無いが、それには楽しいでは済まない事もある。それがネックだろう。

クルーがたくさん居た頃は、オーナーがせっせと動く必要は無かった。でも、クルーが居ない時代になると、オーナー自らが動かざるを得ない。そこにパワーアシストが入り込んで来るが、それでも追い付かないというのが今日の状況かもしれない。理屈では簡単に動かせるはずなのだが、理屈では無い何かがある。主体的に、自らが動きたくなるのには、何らかの強い動機が必要なのだと思います。

旅には開拓精神が、セーリングには探求心が、そしてレースには競争心が必要なのだと思います。それが強い動機となって、パワーを生み出す。そのパワーが無いと、長期的な面白さにまでは行かないのかもしれません。しかも、クルーが居ないなら、クルーのパワーは無いのですからオーナー自らのパワー次第になります。にも拘わらず、ヨットは大きくなって、よりパワーを要求します。これでは動かないヨットが多くなるのも仕方ない。それで、パワーボートに移行したとしても、やはり同じ事。

近年のクルージング艇の発展はエンターテインメント性の進化にある。ならば、これに呼応するように、今度はマリーナ側のエンターテインメント性が求められる。いっそのこと、マリーナにでっかいスクリーンを張って、夜は映画でも上映したらどうだろうか?車でやるドライブインシアターのマリーナ版だ。レストランはもちろん、スターバックスもあって、ジャズバーなんかもあって、それにケータリングサービスなんかもあったら良いかもしれない。

そうなると、ますます本物のクルージング艇はマイナーに、セーリングヨットもレーサーもマイナーになる。ヨットに限らず、いかなるものもそういうメジャーとマイナーに分離していく。それはそれで良い。だからこそ本当に旅をし、セーリングを求め、レースに興じる事の価値が高まる。そう促してきたのは、近年のクルージング艇の発展の仕方がエンターテインメント性を重視してきた処にあると思います。

しかし、そのクルージング艇のエンターテインメント性もかなり限界に近い処まで来たのかもしれない。マリーナのそれはこれからです。そして、この次には、どういう発展の仕方をするか? 鍵を握っているのはやはりクルージング艇だ。何故なら、それがメジャーだから。次の発展は近場のセーリングが主流になったら良いのになんか思います。マリーナのエンターテインメント性が高まれば、ヨット自体にはそこまで必要無いかもしれない。そうなると、次は、ちょっと近場のセーリングでも楽しもうかな?という具合になれば良いのですが?しかし、マリン業界発展のキーワードは、やはりエンターテインメント性なのかもしれません。そして、オーナーのキーワードは気軽さ。

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