第七十四話 価格、品質、中古 


      

造りの良いヨットはただ良い素材を使って、良い職人が丁寧に造っているだけで無く、そのヨットが目指すコンセプトに向かって、より高いレベルを目指しています。工法や構造が違ったりします。だから、量産はできないし、値段も高くなります。しかし、それが中古になると、日本では海外相場よりも安くなってきますので、高品質を味わうチャンスも広がります。そこを狙わない手は無いと思います。

もちろん、中古ですから、メインテナンスがどうだったかは重要になります。しかし、それでも、船体は高いレベルにありますからメリットはあります。新艇時、安い量産ヨットより、同じサイズでも、1.5倍、2倍、それ以上に高いヨットもありますが、それは世界が認めて来た価格ですから、応分の質が認められたヨットです。だから、簡単には手が出ない。量産艇を基準にするなら、どれだって高くなるのは当然です。でも、中古になったら、チャンスは広がります。

高品質は何が違うかって、例えば、べた凪状態ならたいして差を感じないかもしれませんが、波が高くなるにつれ、風が強くなるにつれ差が出てきます。クルージング艇なら安心感が違うし、身体も楽、走るヨットならセーリングの質の違いが解ります。どこまで求めるかは、自分のこだわり次第ですね。

遊びですから、どうでも良いと言えばどうでも良い。でも、遊びだからこそ、何でも良いというわけには行かない。考え方次第になると思います。別に高品質で無くても、クルージングはできるしセーリングもできる事には違いありませんから、こだわり次第です。ただ、遊びは自分の価値観を楽しむ事だと思いますから、ヨットのどこに価値観を置くか? 

キャビンにこだわる、外洋性にこだわる、スピードに、セーリングの質に、安心感に、デザインに、性能に、装備に、どこにこだわるかはそれぞれですが、そのこだわりを楽しむ事こそが面白さを味わう事になるんだろうと思います。もし、何にもこだわりが無かったとしたら、遊びも漫然にならざるを得ない。それなら、長期間に渡って楽しむ事なんてできない。逆に、どこかにこだわりを持って、それに相応しいヨットを手に入れ、求めて行くなら、飽きる事は無い。それどころか、面白くてしょうがなくなる。

例え、みんなで楽しむピクニックだとしても、そこにこだわりを持てば、いろんな、みんなを楽しませる工夫を考えるでしょう。それが進化し続ける限り楽しむ事もできます。それは高い質のピクニックという事になります。質は物に限らず、あらゆる処に求める事ができる。

高品質を手に入れましょう。予算があるなら新艇を、そうしたら日本に高品質のヨットがひとつ増えます。日本には少ないですから。その予算が無いなら、中古です。品質の高いヨットは、やっぱり違う。その違いは有難く感じます。サイズを落としてでも高品質はその価値があると思います。

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