第六十話 デイセーラーの基準?


      

どの程度のセーリングパフォーマンスなら良いんだろう?感覚はそれぞれですから、これに正解はありませんが、敢えて、最大公約数的に考えれば、SADR21、22,23 辺りでは無かろうか?もちろん、これは私の勝手な想像です。これぐらいあれば、弱い風でもある程度スイスイ感を感じられるのでは無かろうかと思いますし、強風における安定性もかなり高い位置を確保できる。

否、これ以下で、もっとゆったりした感じが良いとか、逆に、もっとスポーティーなのが良いとか、想いはそれぞれでありますが、平均的と言いますか、より多くの方々が楽しめるセーリングの安定感と速さのバランスは、この辺りでは無かろうか? 

例えば、真ん中を取って、SADR22として考えますと、全長30フィート(船体長)のデイセーラーとして、排水量を3,000kgと仮定した場合、セール面積を45uにしたら、SADRは22を得る事ができます。また、このセール面積に対して、バラストを1、350kg辺りにすると、かなり高い安定性も得られると思います。という事は、キールを除く重量を1,650kgとし、バラスト比は45%となる。

これは現代のデイセーラーなら、全然無理の無いバランスです。30フィートで2tぐらいのデイセーラーもある中、重量を増やすのは軽量化に比べたら簡単です。また、今日のクルージング艇だったら、このサイズで5tぐらいでしょうか。つまり、クルージング艇の60%の重量ですから、3tは充分軽いので、セーリングパフォーマンスも少し想像できるのでは無いでしょうか?

さて、これに45uのセール面積です。これは、同サイズのクルージング艇に比べても大きくありません。むしろ、少し小さいぐらい。という事は、取り扱いも大変では無い。それで、バラストを1,350kgとすると、かなり高い安定感が得られる。もう少し、200kgぐらい少なくても良いかもしれませんが。もしそうなると、SADRは23となり、それでセールを43uに減じると、SADRは再び22になります。

これ以外の要素、例えば、水線長とか船型とか、キールのデザインとか、その他いろんな要素がありますが、プロのデザイナーがコンピューターを使ってデザインするのですから、それはお任せです。あまり気にする事は無いと思います。SADR値に見合ったデザインになると思います。デイセーラーはセーリングを楽しむ為のヨットであり、一般的に、極限のセーリングスピードを求めるわけではありませんから。

さて、それで、この辺りの性能をデイセーラーの基準として考えても良いのではと思います。ただ、決して、これ以下は駄目とか言う事ではありません。例えば、アレリオン28のSADRは17.7です。楽にセーリングを楽しむ事ができます。ただ、微軽風でやや重さを感じるかもしれません。その時はコードゼロとかジェネカーを展開すれば良い。逆に、SADR値がもっと高いと、もっと速く走れます。ただ、そうなると、その分、操作面が増えるでしょう。もちろん、そういうヨットはその操作を楽しむ事も目的のひとつです。スポーツ性の度合いの問題になります。

もちろん、どんなヨットにも、コードゼロやジェネカーを使います。その方が面白さの幅が広がります。そして、セーリングの深さを広げるのは、乗り方次第という事になると思います。ゆったりでも良いし、本気で走っても良い。ただ、ここで言うのは一般的な基準として思う勝手な想像ですから、悪しからず。楽に走れて、尚且つ、速いスピード感を得られると思います。

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