第五十四話 第四極?


      

これまで、大きなサイズのデイセーラーを取り上げてきました。従来の考え方では、そういうサイズにデイセーラーという価値観は有り得なかった無かったわけですが、しかし、今日のデイセーラーコンセプトが投げかけた波紋が、人々の意識に変化をもたらしています。それがレースや旅に次ぐ第三極です。否、別荘としての使い方も入れると、第四極かな?

進化とは従来の価値観に、新たな価値観をもたらします。それによって多様性が生まれます。本来、デイセーラーとは20フィート前後の小さなヨットであった。それが30フィート前後の、従来とは全く異なる、新しいコンセプトとしてのデイセーラーが生まれ、世界に広がって行きました。そして、今日、その新しい価値観が50フィートや60フィートのデイセーラーへと波紋を広げています。もはや、このコンセプトはヨットのサイズを限定する事無く、考え方、価値観、スタイルとして定着してきています。

自分のライフスタイル、仕事、家族、余暇、価値観等々を考えた時、レースや旅、別荘に加えて、もうひとつの選択肢が生まれて来た。それが、もっとカジュアルに楽しみたい、という事ではないかと思います。レースも旅もカジュアルに、そして、セーリングをもっと楽しみたい。

とは言っても、主流はやはり30フィート前後です。気軽になれるサイズであり、シングルでの操作性、帆走性能、アコモデーション等々、今日のデイセーラーコンセプトを最も体現できるサイズなのでしょう、世界中の多くのモデルがここに集中しています。

写真はドイツのビール8.8(29フィート)です。クラシックな雰囲気を残しつつ、モダンな部分も見られます。シングルで誰もが気軽になれるサイズ、バキュームによる最新工法を使い、排水量はわずか1,650kg、SADRは24、かなりのスポーティー感があります。ピクニックに良し、本気セーリングに良し、ローカルのレースに出ても楽しめるパフォーマンスです。



そして、キャビンは、下の写真。個室ではありませんが、トイレもあります。このキャビンと帆走性能、操作性、自分のライフスタイル、価値観等々を考えた時、感性に触れるものがあるかどうか?もっと気軽に楽しみませんか?デイセーリングのポイントは気軽にできるかどうかではないかと思います。でも、気軽でも、セーリングそのものに挑むなら、深いセーリングの世界を味わう事もできます。



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