第四十八話 ギャレーは本当に必要か?


      
イーグル 44

あるアメリカの雑誌で、デイセーラーについての記事が掲載された。”ギャレーは本当に必要なのか?” クルージング艇はそのサイズをどんどん大きくし、ニューモデルは次から次にサイズアップして行く。キャビンの拡大と、装備の拡充の一途を辿っている。

しかし、一方では、その流れに逆行するかの様に、デイセーラーの台頭が見られる。1912年にハーショフはアレリオン26を自分用にデザインし、その後、近代的な工法で蘇る。それがアレリオン28で、その後、33、38等に拡大。さらに、Jボート、モーリス、セーバー等々の造船所がデイセーラーを発表、ヨーロッパでは、スーパーヨットのデザインで有名なルカブレンタはBヨットのデイセーラープロジェクトを開始していく。その流れはクロスカレント、ワリーナノへと続いていく。

デイセーラーの台頭は、ある解放を意味している。レースのレーティングから解放され、クルージング艇の大きなキャビン空間から解放され、クリエーターは、そこから自由を得て、セーリングという本来の機能と美しいデザインという方向に向かう。これはデザイナーにとって、やる気を起こさせるに充分な要素となっていく。オーナーにとっては、クルーを不要にし、ボリュームに圧倒される事無く、気軽さと自由を手にする。第三極の流れである。その流れのテーマはカジュアルという事ではなかろうか?

多くの場合、忙しさによる時間の問題もあり、自分達が住む地域のマリーナをベースに過ごしている。いわゆる、デイセーリングをしてきた。いつかは遠くの何処かへという事もあるだろうが、でも、今じゃないかもしれない。ヨットをどの様に捉えるか? 時間は過ぎ、取り戻す事はできない。刻々と過ぎる時間をどう過ごしたら良いのか? ギャレーは本当に必要なのか? という事を、新めて考える価値は、あるかもしれない。

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