第四十四話 クラシックの味わい


      
ケープコッド 30

クラシックデザインの趣きは、なかなか味わい深く、粋なヨットが多い。しかも、有難い事に、最新のテクノロジーによって、見た目にも拘わらず実際の重量はとっても軽いし、船底形状にしても、キールにしても、最新のデザインが施され、その走りは軽快です。

シングルハンド仕様で、全ての操作はコクピットの後部側に集中させていて、コクピットの前側には、テーブルを配し、仲間達とゆったりできるスペースを設け、スピード+αを求める。この志向は、飛びっきり速いモダンなイタリア系デイセーラーとはちょっと異なる狙いが見えてくる。

つまり、デイセーラーには、ハイスピード狙いのモダン系と、そのデザインから来るクラシックならではの情緒的な存在感があり、加えて、家族や友人と一緒に楽しむ事をも前提にし、コクピットがメインサロンという考え方がある。もちろん、モダン系でも同じ様な事はできるが、クラシック系はその意識がモダン系よりも強い傾向がある様に思えます。

今日のデイセーラーの開発において、シングルと軽快なセーリング性能は、もはや必須の要素なのですが、そこから先の目指した要素が、モダン系とクラシック系で分かれて行く。ここは、乗り手によって好みが分かれる処であります。

ヨットを楽しむとはどういう事か?セーリングを味わうとはどういう事か?スピードを含めたあらゆる要素があり、それらをフィーリングとして捉え、さらに進化が進むに従って、様々な要素を新に生み出していきます。特にデイセーラーにおいては、その主たるテーマは味い、フィーリングですから、その感覚に迫る手法は、いろいろあってしかるべきですし、それは、
心を豊かにしてくれるヨット、それがデイセーラーの大きなテーマなのではないかと思います。因みに、このヨットはFRP製です。木造艇ではありません。

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