第十八話 ピュアセーリング


      

ただヨットを出して、その日のセーリングを味わってくる。この間のセーリングは、この夏にしては少し涼しくもあったせいか、たいして吹かなかったが、気分は悪く無かった。何となく、ぼ〜っとしたぐらいのセーリングでも、風に吹かれ、波の音を聴きながら、それなりの気分を味わった。

特別のセーリングでも何でも無い。ゆったり。緊張感も無かった。でも、風情を愛でる癒しの感じはあったろうと思います。これもセーリング。性能の良いヨットは、そこそこは走るから、こんな時でも気分は悪く無い。

吹く時は緊張感も高まり、セーリングに集中する。舵に、セールに気を配り、その動きを注視する。終われば、緊張感は安堵に変わり、結構、充実感が湧いてくる。これもセーリング。

気に入ったヨットで、自由自在に走れば、それで充分ではなかろうか?その他はおまけぐらいの感じ。吹いたり、吹かなかったり、そこにゆったり感や緊張感があったり、いろんなセーリングを味わえる。セーリングを通して味わうフィーリングは様々だから、良い時もあれば、そうでも無い時もある。それを全部引き受けるつもりなら、良い悪いでは無く、それぞれのセールフィーリングがあるだけ。それで良いんじゃなかろうか?

デイセーラーというヨットには、そんなセーリングを求めたい。自由自在に海を走りたい。ヨットに自由になり、海というフィールドにも自由になる。これは旅やレースとは全く違うピュアセーリング。頭使うセーリングから、感覚セーリングまで、純粋にセーリングをあるがままに味わう。それで良いと最近は思っています。

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