第83話 クラシック

偶然にも舵誌10月号にクラシックヨットの記事が掲載されました。しかしながら、クラシック
ヨットも進化しています。新しいクラシックヨットというと変な表現ですが、新しく出現してきて
いるクラシックデザインヨットは、昔のクラシックヨットとは異なります。

ヨットの流れは、クラシックからモダンなデザインに変化していくひとつの流れがあり、クラシ
ックデザインそのままがあり、もうひとつモダンクラシックと言いますか、新旧の融合があり
ます。いわゆるクラシックヨットはみんなロングキールを持っています。確かに直進性は良い
座礁してもキールは頑丈だし、しかしながら、舵効きの悪さから、舵とキールを切り離して
舵効きを良くした設計がなされた。当初はこんなヨットで外洋は無理と言われたそうです。
ところが、実際に外洋を走ってしまった。やがて、ロングキールはセミロングとなり、舵とキー
ルは切り離されるようになった。良くデザインされたヨットはそれでも直進性は良い。さらに
進化して、現代では、クラシックデザインの新しい設計がなされるようになりました。クラシックヨットのメリットはそのまま残し、FRPによる建造、これもコンポジットになり、従来よりは軽めになり、キールもフィンキールになり、艤装もフラクショナル、アルミマストからカーボンまで採用されるようになったのです。それでいて、見かけはクラシックのままなのです。クラシックヨットのメリットにプラス、現代の技術を採用して、高い帆走性能を見せる。それが現代のクラシックヨットです。ですから、従来のクラシックヨットというイメージとは多いに異なり、進化し続けているのです。

昔ながらのクラシックヨットを好む方もおられるでしょう。でも、その良さをそのままに、現代の技術を駆使したモダン・クラシックヨットはモダンデザインには無い、永遠の美しさと、現代の帆走性能を併せ持つ。それが今のクラシックヨットなのです。ちょっとここで、凄い例を紹介
しましょう。


典型的なクラシックデザインですが、このキール形状そしてリグを見てくだい。もはや、昔の
クラシック艇とは違います。高い帆走性能を持つヨット、それが今のクラシックヨットです。もは
やノスタルジーに浸るヨットではありません。実用性の高いヨットとして、実際に帆走を楽しむ
ヨットとして、クラシックヨットは進化し続けています。

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