第18話 New シングルハンド in ヨーロッパ

あるデザイナーからこんな情報が舞い込んできました。新しいスタイルのシングルハンド艇を建造中
という事で、シングルハンドをコンセプトに、スポーツ的にセーリングそのものを楽しむというものでした。
ただ、違うのはこのサイズです。ヨットは38フィートあります。さすがにヨーロッパは違うなと感じだ次第
です。シングルハンドではあるが小さなヨットでは無く、そこそこ大きなヨットを目指しています。
全長38フィート(11.66m)に対し幅はわずか2.75mしかありません。フリーボードもかなり低く、
バラスト比は50%オーバー、オートパイロットを配し、オートをかけて、メインセールを電動ウィンチで
上げる。ジブはファーリングシステムのセルフタッキングシステムです。メインが大きく、ジブは小さく。
そしてジェネカーを使う。このヨットのもうひとつの脅威的な事は、メインシートの出し入れとメイントラック
の左右への移動を全て油圧により、手元スイッチで操作できる事です。スリムでボリュームは小さい、
よって、ボリュームから来るシングルでの操作に対する脅威は全く無い。そして、セールトリミングは油圧
キャビンは小さく、シンプル。とにかく、シングルで楽に高い帆走性能を楽しむというコンセプトです。

これはまさしく、これまで何度も言ってきた事、ドイツのディスタンシアも同じコンセプト、アメリカのフレンド
シップ40というヨットも現在同じコンセプトで建造中です。上記のヨットは今年の夏に完成し、秋のボート
ショーデビューとなります。



まだ図面しかありません。

とにかく、欧米で同時に、スタイルは違っても同じコンセプトで建造されている事は何を意味するか、
欧米では既にセーリングを楽しむ、レースでも無く、漫然と走るクルージングでもない、セーリング
そのものを楽しむスタイルがスタートしたと思っています。それどころか、ここに紹介したヨットはスタ
トどころか、もうかなり進んでいるといえるでしょう。先日ご紹介致しましたJボート社のJ100もそう
です。デイセーリング、シングルハンド、高いスタビリティー、小さなジブに大きなメイン、全て共通し
ています。

従来の小型艇でクラシックなデザインというものと、プラス、最新機器を装備した大型艇でのデイセーラー
という分野がこれからどんどん出てくると思います。日本にはとても合うスタイルではないかと思います。
ちょっと割りきってしまえば、スポーツカーを乗りまわす感覚で、短時間にセーリングを気軽に楽しめる。
そういうスタイルが、忙しい日本人には合うと思います。

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