第13話 セーリング

マリーナを出たら、まずはセールを上げる。風上に立てて、真っ直ぐ走る。その状態を
キープしてティラーをしばりつけても良いし、ショックコードでするとちょっとそれた時に
解く事無く修正ができる。或いは、オートパイロットを使う。たいてい、ウィンチを使わ
なくても、トップ近くまでは手だけで上がるでしょう。最後にウィンチに巻いてテンション
をかけるセールに縦皺や横皺が入らない程度にする。ジブを上げる。これも同じ。
ファーラーならシートを引いて、ある程度まで出ると風の力で自然に出てくる。

まずはのぼりで走る。メインシートを引いて、ジブシートも引いて、舵はヨットが風上ぎ
りぎりの上れる角度に切る。ティラーを両足ではさんでコントロールしながら、シート
を引き込みます。ジブシートは風下側のウィンチですから、一杯に引き込み、メインシ
ートも引き込む。メインシートのトラックはコクピットにあれば、ティラーを片手で持って
容易に届くようであればOKでしょう。

ジブのトラックのリーダー位置はシートを引いてセールに対して、フットもリーチも均等
にテンションがかかるようにする。メイントラックのリード位置は中央にしておく。これで
ティラーをもって、風上ぎりぎりを走ってみる。ちょっと操船をあやまるとセールの裏側
に風が入り失速します。これがひどくなると、舵の操作では元のコースには戻れないの
でタックせざるを得ません。ですから、かと言って、楽に走る為にコースを落として走る
のはいけません。ぎりぎりのところを走る遊びですから。少し集中力も必要です。
この時、風は前から自分に向かって吹いてくる。おまけにヨットは風上に上って走る。
ですから、より強い風を感じます。爽快な走りのひとつです。おまけに。ちょっと気を
緩めると、とたんにセール裏風が入る。

水面を見ると、所々、色が変わっている所がある。そこだけ風が強いのです。そこに
入りこむと、風が強くなるので、強い風がセールにプレッシャーをかける。そのパワー
を受けて、ハリヤードが伸びる。そしてセールも伸びる。伸びるとセールのドラフトは自分
で設定した位置より後部下がるし、ドラフトも大きくなる。そのままにしておくと、ヨット
はヒール角度が大きくなり、風上に上ろうとする。ほんの瞬間的なら、ティラーを引いて
ヨットが風上に上ろうとするのを抑えるのでも良い。でもこれが少し長く続くなら、メイン
かジェノアの大きい方のセールのシートを緩めて風を逃がす。理想的にはヨットのヒール
角度を一定にするように、ブローが来たら、それにタイミングを合わせて、シートを出す。
そうすると、ヨットはヒール角度を一定にしたままで走れる。ブローを過ぎたらまた引く。
舵でもってヒールを抑えるのは、本当は舵を切った状態というのは、舵により大きな
海水のプレッシャーがかかり、艇速を落とす事になる。ジブシートはウィンチに巻かれて
いるので、片手にティラーを持ったままで、もう一方の片手だけではシートを出すのは難
しい、それでメインシートの方が良い。でも、ジェノアが大きく、メインが小さい場合は、
場合によってはメインを出してもあまり影響が無い事もあるので、メインセールの大きい
そしてジブの小さな方がやりやすいのではにかと思う。

風が弱い場合は、ジブトラックのリーダーの位置を前にやる。そうすると、シートは下側
に引かれる事になり、リーチは閉じ、フットが膨らむ。シートを緩めて、ローギヤモードで
ある。メインはアウトホールを緩めて、ドラフトを深く、逆に、風が強いとジェノアトラックの
リーダーは後部へ、フットを引き、リーチ側は捩れて、上部から風が逃げる。メインは
アウトホールを引いて、どの程度かは経験から学ぶしかありません。基本的に、風が
弱い時はドラフトを深く、強い時はセールをフラットにしていく。舵はできるだけ真っ直ぐ
の方が抵抗が少ない。

また、風が強くなると、ジェノアのラフは丸くなってくる。あれだけテンションをかけていた
フォアステーでも丸くなる。セールは丸くなった時にドラフトが無くなるようにデザインされ
ており、(微風用と強風用ではカットが異なる)丸くなるというのは風が強いという事です
から、それで良い。メインセールはバックステーを引いて、マストを曲げる事によって
フラットにする。

ただ、真っ直ぐ走るだけで、風が強くなったり、弱くなったり、また、島などがあると、風の
向きが変わったり、変化に富んでいます。ヨットがどの程度の角度で風上に上れるか、
ヨットの性能によりますが、そういう事もわかる。セールが伸びてしまうと、のぼり角度
も落ちてくる。

とにかく、いろいろな操作をしなくても、ヨットは走れます。でも自分が理解して、自分が
コントロールして、スムーズに走れるようになると、これは実に面白いチャレンジではない
でしょうか。ただ、漫然と走っているより遥かに面白くなります。

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