第九十六話 ドイツのデイセーラー


      

ドイツのビール8.8、約29フィート。いわゆるモダン/クラシックデザイン。と言う事はパフォーマンスとしてはSADR25前後かな?と予想するが、計算してみると案の定。クラシックにモダン系を加える狙いはそこにある。見た目はクラシックを演出しながら、パフォーマンスを高める事を意図したデザイン。

オンデッキマストだが、良く見ると、マストの土台からロープが出ていて、デッキ下を通って左右のストッパー/コクピットウィンチにリードしてある。つまり、ハリヤードを含めて、全ての操作はこのふたつのウィンチでまかなうようになっている。(メインシートはコクピット中央) 2個のキャビントップウィンチで全てをまかなうデイセーラーは多いが、このヨットはそれをコクピットウィンチでやってる。多分、セルフタッキングジブにしていないからだろう。

フォアステーがバウ先端から少し後部にあり(ファーリングドラムはデッキの下)、ジェネカーはバウの先端で展開できる。つまりバウポール不要。ただ、別バージョンでバウポールを突き出せるタイプもある。

資料に寄ると排水量は1,650kgと軽い。本当かな?と疑いたくなる程。部分的にカーボンを使っているとか。それに幅が2.38mと細いというのもある。ハルもデッキもサンドイッチ構造で、ビニルエステルとエポキシ樹脂を使用しバキューム/インフュージョン工法ときた。

キールはバルブキールでバラスト630kg、セールは33〜37uと選択でき、SADRは24〜27なので、予想通り、かなりのスポーティーさがある。できればセルフタッキングジブにして、シートを左右に分けて、風上、風下の両方からシート操作できたら良いかな。また、バラストをもう少し重くして、例えば、1,000kgにしたら、SADRは21〜23.5.これでも結構スイスイ感が得られると思うのだが?そんなこんなを考えるのも楽しい。ただ、チークデッキにすると、見た目は良いがメインテナンスもあるし。それに少し重くなる。それも考えたら、バラストの1,000kgまではしない方が良いかな?

下の写真は、これの別バージョンで、バウポールを突き出している。お好みだが、フォアステーとの間隔が長いので、内側ジャイブはし易い。それもファーリングにしたら良い。デイセーラーも少しづつ違いがあるので、面白い。お好みのヨットをピックアップして、ひとつひとつを吟味する。それも楽しからずや。



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