第九十四話 東ヨーロッパ


      

東ヨーロッパには、日本では知られていない造船所がたくさんある。これまでは長期間に渡って西ヨーロッパの下請けをしてきた造船所がノウハウを身に着け、自社ブランド艇を出してきた。大型艇ももちろんあるが、多くは小型艇、西ヨーロッパの造船所が小型艇を生産中止するなか、その補完的な役目をしてきている。

多分、その中でも最も造船所が多いのがポーランドだろう。ドイツの隣。わけあって30フィート以下のヨットを調べてみた。27フィートのクルージング艇の標準仕様でだいたい4万ユーロぐらい。とは言っても、多くのオプションが設定されている。船外機、インボード、ティラー、ラット、キールの選択もある。このサイズからして、トレーラーで運ぶかどうかの選択だろう。

大手造船所が小型艇を造らなくなったから彼らが出てきたのか、或いは、彼らが出てきたから生産中止にしたのかは解らないが、兎に角、ヨーロッパにおいて小型艇が無くなってきたわけじゃない。小型艇故の気軽さは大型艇とは異なる楽しみ方がある事を知っている。

あるオーナーは滅多に動かない大型艇を尻目にワインを一本もって、夫婦でセーリングに出るそうだ。2〜3時間のセーリングにワインを楽しんでくる。仕事終わりの金曜日の夕方にちょいとセーリングを楽しんできたり、兎に角、気軽になれるとの事。彼曰く、大型艇で遠くへ旅するのも魅力だが、自分にとっては日常的に楽しめる方が良いとの事。

小型艇には大型艇には無い魅力がある。旅も近場ならより気軽になれるという事も考慮した方が良いのではなかろうか?遊び方も違ってくる。


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