第六十九話 マニュアルの面白さ


      

自動化が進んで、そのうちヨットだって完全自動化になる。人工頭脳はこの30年か40年で、人間が行う仕事を同等レベルでこなす事ができるようになるという話もある。今はまだそういうレベルでは無いが、自動化はかなり進んでおり、特にパワーボートが先行している。ヨットの完全自動化もそう遠い話では無い。

自動化も良いが、自分で操作して感じる何か?その面白さを失ったら、他には便利さと楽しさを追うしか無くなるんじゃなかろうか? それじゃあ陸上生活とあまり変わらない。違うのは海というフィールドだけ。でも、人生に充実感を感じるのは便利でも楽しさでも無く、面白さではなかろうか? 何故なら、便利も楽しさも瞬間だが、面白さというフィーリングは継続し、成長するから。人工頭脳には充実感なんて不要です。でも、もっと進んだら、人工頭脳は我々のアドレナリンをも直接操作してくるかもしれないな〜?

自分で操作して走らせるって本当に面白いと思います。セーリングを学び、操作を学び、いろいろ試行錯誤しながら進むセーリングは様々な事を感じさせてくれます。必ずしも良いフィーリングばかりでは無いかもしれないが、でも、いろんなフィーリングをより多く感じて、総合的に上手くなって行くという感覚は、面白さ以外の何物でもないと思います。

我々にとって大事なのはフィーリングではなかろうか? どんなフィーリングをどれだけ多く持つか? 瞬間のフィーリングと長期に渡るトータルのフィーリングがあり、どういう手段でそれを獲得していくか? 自動化に寄って得られるフィーリングか、或いは、マニュアルか?

時代の流れは流れとして享受するも、自分の遊びに対しては受け身では無く主体的に考え、行動し、感じたい。セーリングを自分で考え、操作し、感じるという行為、その質のレベルアップ、デイセーラーはそういう方々への提案です。広いキャビンも、エアコンも、冷蔵庫も、温水も、それらは面白さをもたらす物では無い。しかし、セーリングは面白さの可能性を提供してくれる、但し、自分で操作すればですが。

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