第六十六話 ヨットなんて


      

ヨットは難しそうだし、面倒くさそうだし、スピードは遅いし、そしてこちとら忙しいし、とかなんとか言う話は時々耳にします。これって最初からヨットやる気の無い人が言う事で、そういう方々を説得しようと試みても無駄かもしれないな〜と思わないでも無い。

でも、敢えて反論すると、難しいからこそ面白さがある。もう少し言うと、簡単に済ます事もできれば難しさに挑む事もできる。セーリングが簡単か難しいかは、乗り手がどこまでやるか次第に過ぎない。セーリングは初心者に優しく、プロをも唸らせる。何を見ているか次第です。

面倒くさいという事に関しては、例えば変化が解る人は、解るからこそ操作をするのであって、彼、彼女にとっては面倒くさいとか感じていない。大胆だろうが繊細だろうが、解るから操作して遊んでいるに過ぎない。解らないという事を面倒くさいという言葉に置き換えているだけではなかろうか?だとしたら、解る様になれば面白さが深まる。

スピードに関しては大きな勘違いがある。どこかに行く為なら実質的な速さが重要かもしれない。だけど移動だけが目的なら車や電車の方が速い。ヨットで楽しむのは絶対スピード値では無く、セーリングのスピード感です。ボートで10ノットならノロノロ、でもヨットで10ノットならスリルさえ感じる。セーリングは移動する為の時間じゃ無くて、そのフィーリングが重要なんです。遊ぶのはそこです。リニアモーターカーで時速500kmで走っても、速いけど面白いかどうかは別です。

そして忙しい方、だからこそデイセーリングが相応しい。2〜3時間でセーリングを堪能できるんですから。ボートだったら、2〜3時間で何します? 近くのどこかで飯でも食いますか? 例えそうでも、毎回同じ処に行きます? デイセーリングは2〜3時間でも、毎回違うセーリングを楽しめる。

自由自在に自分のヨットを操作する。最も簡単なシート操作だけでも良い。そこから知と感に挑んでいく。たった2〜3時間でも深い味わいを得る事ができると思います。そう言えばアインシュタインもケネディーもヨットを愛した。彼らはどう楽しんでいたんだろう? セーリングは癒しであり、知的な挑戦でもあり、それらに伴う感性の冒険でもある。

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