第三十八話 デイセーラー選択の基準はふたつ


      

どのデイセーラーを選ぶか?その選択の基準は気に入った美しいデザインで決める。これで良いと思っています。他の事はあまり考える必要が無い。しかし、パフォーマンスは?と思われるかもしれません。でも、その選んだデザインとパフォーマンスは合致する。例えば、クラシック系を好む方が超ハイスピードを求める事は無いだろうし、それに対してモダンデザインを好む方はハイスピードを求める傾向にある。これは見た目だけでもそういう雰囲気を醸し出している。

それでも、敢えて、パフォーマンスを見るとしたら次の様にまとめる事ができる。デイセーラーにおけるデザインはクラシック系、モダン/クラシック系、モダン系の三つ、パフォーマンスを表す最も簡単なデータはSADRです。SADRについては、これ迄に散々書いてきました。セール面積に対する排水量比です。この数値が高い方が速いと言えます。速い順に言えば、モダン系、モダン/クラシック、クラシックという順、しかし、いずれにしろ、デイセーラーのパフォーマンスはクルージング艇より高いレベルにある事も付け加えておきます。従って、強いて言えば、デザインとSADRのこのふたつで充分。

しかし、何故、複雑なセーリングのパフォーマンスを見るのにSADRだけで良いのか? もちろん、細かい要素もいろいろあります。しかし、考えてみたら、プロのデザイナーがデイセーラーというコンセプトにおいて、どの程度のパフォーマンスを設定してデザインするか、そこを決めれば、その他の要素は自ずとそのパフォーマンスに合わせてデザインしていきます。だから、あまり細かい事を気にしなくても良いのではないか。デイセーラーはセーリング重視であって、それ以外の事をあまり考える必要が無いからこそデザイナーにとっても自由度が高いからできる事でもあります。

セール面積、排水量の他、水線長、バラスト重量、キール形状、舵の形状、船型等々、デザイナーが考えるパフォーマンスをめがけて行く。そうじゃないとバランスが取れなくなる。キャビンとか、装備とか、あまり考慮する必要が無いからです。

だいたい、クラシック系はSADR25以下、一般的に言って十分なスポーティーさがあります。モダンクラシック系は25〜30とか、モダン系は30前後から以上。もちろん、例外もあります。例えば、ブラックペッパーのコードゼロとかワリーナノとか、これらはモダンクラシック系でも船体はカーボン製なので非常に軽い。ただ一般的にはここで書いた様な事が言えると思います。

極論かもしれませんが、美しいと感じたデザインを選べば、それで良いとも言えます。パフォーマンスはその見た目とセットみたいなもの。見た目で判断して構わない。逆に、見た目の美しさは非常に重要と考えます。

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