第三話 生産性向上



      
5人の仕事を4人でできるとか、3人でできるというのは生産性が向上したという事になり、これは明らかですが、例えば、GPSを使ってナビゲーションが簡単になったとか、オートパイロットで舵から離れられるとか、それらも生産性の向上と見る事ができます。バウスラスターも、ファーラーも、電動ウィンチも、全部同じ、便利は生産性の向上と同じ意味を持ちます。

だから生産性向上は広く受け入れられる事になります。しかし、その便利さを享受してこその生産性向上ですから、その分、頻繁にクルージングができるとか、より広範囲に行けるとか、セーリングの頻度が上がるとか、シングルハンドが可能だからいろんな人達を招待できるとか、その恩恵を享受してこそ意味があると思います。

一方、個人が遊びとして楽しむという事に関しては、生産性向上をいかに活かすか、知らないうちに、惰性的にその便利さに接しているだけになり兼ねません。ですから、ヨットの何を楽しむのかに意識的である事が必要ではないかと思います。

旅であるなら、旅の何を楽しむのか? セーリングも同様ですが、できるだけ具体的に考えておいた方が良いかもしれません。それが意識されると、自然にそこに向かいますからより楽しむ事ができる様になると思います。

生産性向上は我々にとって無条件と言って良い程受け入れられます。でも、遊びですから、その事によって何が享受できて、それによってより楽しく、面白くする事ができるかどうか? それによって失うものは何かと考えた方が良いかもしれません。

デイセーラーの生産性向上は、シングルハンドを可能にする事、帆走性能が高まる事、失うものはキャビンの広さ、それを考えたら、より頻繁にセーリングを楽しむ事ができて、その代わりキャビンは狭いので、遠くへの何泊もキャビン内に泊まるロングはやりずらくなる。という事でデイセーラーという名前になりました。しかし、そういうセーリングスタイルが性に合う方には大きなメリットになります。

クルージング艇のキャビン拡大競争はキャビンの広さという生産性向上をもたらしました。ですから、より快適なキャビンライフをおくる事ができます。しかし、その分、マリーナからの出し入れが大変になる。それも、バウスラスターで楽にする事ができます。という事は、より頻繁に、友人達を誘って、泊まりのクルージングを楽しめるという事だと思います。

レーサーの生産性向上はより速いスピードか、又はレーティングの有利性です。さらに、少人数でも可能にしてきた。ならば、レースに参加して、より上位を狙える事になります。

自分の志向と各ヨットの生産性をマッチさせると、この上ない面白さを味わう事ができると思います。最もやってはいけないのは、無意識的に隣のヨットと同じにする事ではないかと思います。

        

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