第五十八話 セーリング好き



      
デイセーラーは忙しくて遠くに行けないからデイセーラーという消極的な態度というより、セーリング好きにおおくりしたいヨットです。何故なら、デイセーラーはセーリングの為に造られています。

ここで言うセーリングは移動でも無ければ、レースでも無い、純粋なセーリングです。という事はどこかに行く目的地が無いし、誰かに勝つ為でもありません。純粋にセーリングして、そこから何を得るか? それは何を感じ、何を思うかという事になります。それをグッドフィーリングとか、それを目的の様に書いてきました。しかし、それを獲得した時、どう思うんでしょうか?

確かに、グッドフィーリングはあります。でも、それは目的では無く、たまたまの結果かもしれません。それより、走らせる事に集中して、ベターな走りを求めていろいろ工夫する、その変化こそが目的なのかもしれません。ある特定のフィーリングを求めているわけでは無く、工夫して様々な変化を味わう事が面白さではないかと思います。

その変化は必ずしも理想的な、期待した通りの変化になるとは限りません。しかし、いろんな変化があって、それを感じる事ができて、この先、より良い変化へと工夫し、成長していきます。セーリング好きにとって、自分が成長していく過程を味わう事こそがグッドフィーリングなのではないでしょうか。だから、何らかの工夫をしながら変化を起こし、新しい何かに気付く時、成る程と思う事があります。そのたくさんの成る程を得る処に面白さがあると思います。そこにグッドフィーリングもあると思います。

だから、スピードを求めるも、誰よりも速いというスピードでは無く、今より少し速く走らせる工夫とか、滑らかな動きとか、その為の知識とか、これらがたくさんの成る程をもたらすのではないかと思います。そして、心地よい緊張感を維持し、あらゆる変化を感じ取ろうとする時、その状態こそがグッドフィーリングを受け入れる準備ができた状態なのではないかと思います。ただ、セーリングを楽しむというのは、セーリングを通じて、ある特定では無く、様々なフィーリングを得て、成る程を獲得しながら、成長していく事ではないかと思います。

        

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