第五十六話 そしてアレリオン28



      
ハーショフ氏のアレリオン26は1912年にデザインされています。それが根強いファンに支えられ、今でも建造されていますが、このデザインを元に、新しくデザインされたのがアレリオン28という事になります。
これで、ロングキールだったのがフィンキールに替わり、操作はし易くなりました。もちろん、FRP製に変わったという事もあります。そのアレリオン26の味わいを残しつつ、より時帆走性能を高めたのがアレリオン28です。現在の処、約500艇ぐらいが進水していると思います。

アレリオン28が今日のデイセーラーコンセプトを誕生させたヨットです。オリジナルのアレリオン26もデイセーラーと言えます、しかし、今日の帆走性能とクラシックデザインを融合させたのがアレリオン28です。1990年代初めの頃で、クルージング艇の時代です。既に、25年ぐらい経過していますが、キール形状とかジブブームとか、内装レイアウトとか、いくつかのマイナーチェンジを繰り返しては来ましたが、基本的には変わりません。昔、エンジンはオプションだったんです。それからヤンマー1GM、ボルボだったりもありました、もちろんシャフト式。今ではヤンマー2YMのセールドライブとなっています。

日々、進化発展するのが我々の文明社会です。それは便利さとスピードに表れます。しかし、我々が求める味わいというのもあって、それは便利とスピード以外の処にもあります。それが人気の秘密かもしれません。時速300kmを超えるスポーツカーが出来たからと言って、誰もがそのスピードを楽しい、面白いと思うわけでは無く、人の面白さはまた様々です。もちろん、そういう可能性を持った車というのも魅力です。

思いっきりクルージングを楽しんで、思いっきりスピードを楽しんで、そして最後に行き着く処は何処でしょう? 多分、味わいなのではないかと思います。 フィーリングの良さなのではないかと思います。好きなヨットを自由自在に走らせて味わうセールフィーリングこそが面白さではないかと思います。


        

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