第五十二話 セーリングの効用



      
デイセーリングは、セーリングにスピードを求めつつもセーリングそのものを感じ、セーリングに浸る事がその中心にあり、どんなに速いヨットであったとしても、そこがレースとは違う処ではないかと思います。つまり、スピードの度合いも含めてフィーリングが大事であり、舵を持つ手へのフィーリング、風の変化や操作に対する船体の動きに対するフィーリング、その味わいを愛でる事になると思います。

その為にも、理論は重要ではありますが、その理論は、そのヨットをより味わう為です。セーリングは我々の感性を刺激します。そして感覚は過去でも無く、未来でも無く、その瞬間の今にあります。かのスティーブジョブ氏は瞑想をしていたそうですが、瞑想は今に集中する為に呼吸に集中するそうです。そうすると、何も考えないで集中している状態が、脳を活発化し、イマジネーションが豊かになったり、閃きが得られるとか。これって、感じるセーリングと同じではないか?

それは兎も角、頭脳偏重の現代において、感性を洗練するとか、センスを磨くとか、そういう理屈を超えた行為というのは、目には見えませんが重要な事かもしれません。つまり、頭脳偏重から、理性と感性のバランスを取る。これってデイセーリングにピッタリなんじゃないかと思います。こんな処にセーリングの効用がありました。とは言いましても、どこにもそういう公式発表があったわけではありませんので悪しからず。でも、多分、間違い無いと思います。海外では、多くの知識人がセーリングしているのもそういう処にあるのかもしれません。セールフィーリングは心を癒し、右脳を活性化する。セーリングって、とっても集中しやすいです。

それとは関係無いんですが、クラシックデイセーラーをご紹介します。アリエス31、アルゼンチンの造船所です。排水量は2,550kgで、セール面積は40.2u。SADRは21.9で、なかなか良い感じのマイルドなスポーティー感があります。何も考えずに、ただ走る。それも悪く無い。

        

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