第七十三話 最高のセーリングの為に



      
強風で、ビュンビュン吹かれると緊張するし、体もこわばって力が入ります。これはこれで、その後のリラックスで、面白さを感じたりもするんですが、でも、できれば、こういう時でも、体がリラックスできれば、もっと楽しめるかと思います。

厳密に言うと、緊張には二種類あると思います。ひとつは不安から来る緊張感、もうひとつは意図的に神経を集中させての緊張感、強風時に不安になると、誰もが緊張しますが、意図的に集中した緊張感にとっては、不安は必要無い。そして、不安から来る緊張感は、体を堅くしてしまいます。

そこで、この不安を解消する為には、やはり知識と技術が必要になると思います。それと、自分のヨットに対する信頼です。それで、練習という遊びをたくさんやって、これらを習得していきますと、徐々に、フィット感を感じてきます。自分のヨットやセーリングに対する体感的フィット感です。それがどんどん増えて、不安感を減らしていき、その事が、体をリラックスさせると思います。

不安が無い状態で、集中力を発揮すると、強風をもスリルとして面白さを感じられるようになる。その時、体はリラックスしているはずです。リラックスして居られる限りにおいて、強風でも楽しめるのではないでしょうか。これは、最高のセーリングを味わう為の、最高のコンディションではないかと思います。だから、セーリングを遊ぶにも、知識や技術を意識しつつ、体の感覚も意識しながら遊ぶと良いと思います。

風が弱い時は不安も湧いてこない。でも、集中力は発揮しなければならない。体はリラックスしていても、フィット感があった方が良い。やっぱり練習が必要という事になります。

デイセーリングを楽しむに、こういうセーリングを是非加えて頂ければ面白くなると思います。集中力を発揮しつつ、体がどれだけリラックスできるか。慣れさえすれば、自然にできるようになると思いますし、その幅を少しづつ広げていくことで、徐々に、自由自在感が増してきて、その感覚が実に良い感じになると思います。

我々が、セーリングを趣味として楽しむ時、確かに、細かい調整とか、技術的な事もありますが、それ以上に、この緊張とリラックスの方が面白さを得るには重要な要素ではないかと思います。また、良いヨットというのは、こういう時にもオーナーの味方となってくれます。

        

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