第三十三話 デザイン




     現代のデイセーラーは水線から上がクラシックでも、下はモダンデザイン。アレリオンでその新旧の融合が見
     事に証明されました。見た目はクラシック、でも走りはモダン。その後出てくるアメリカのデイセーラーはみんな
     こういうデザインです。ヨーロッパの様な、上も下もモダンというのがアメリカにはありません。アメリカ人の価
     値観なんでしょうね。一方、ヨーロッパでは、その両方があります。
     
     多分、モダンデザインはイタリアのルカブレンタ氏のB38、ヨーロッパの多くのデイセーラーはこの影響を受け
     ていると思います。その後、クラシック/モダン デザインなんかも出てきますが、こいうデザインは、メガヨット
     なんかにも広く採用されています。クラシック系デザインというのは、世界的に人気が高いと言えます。

     さて、そのデザインをパフォーマンス面から見て行きますと、スピードという点について言えば、上下ともモダン
     系デザインの方が速い。理由は二つあると思います。ひとつは水線長の長さで、クラシック系は前後にオーバ
     ーハングを設けますので、その分、水線長が短くなります。ただ、ヒールすると、水線長は長くなりますが、でも、
     モダン系の方がそれでも長い事は言うまでもありません。二つ目の理由は、重量です。クラシック系は、チーク
     材をあっちこっちに使ったりしますし、内装もそれなりです。しかし、モダン系デザインでは、内装もFRPが多く、
     しかも、そのFRPを場合によってはサンドイッチ構造にしたりします。だから非常に軽い。ただ、結構、オプショ
     ンでチークデッキにする事もあり、これは多分、モダン系デザインの見た目を柔らかくする為ではなかろうか?

     さて、アメリカのクラシック系、でかいヨットが有利になる事は以前書きましたが、30フィート前後ぐらいで、
     SADRが高くても25以下ですが、普通はこれで充分なパフォーマンスを得られると思います。このサイズで
     25以上を求めるなら、ヨーロッパのモダン系デザインになると思います。或いは、サイズを大きくするかです。
     ヨーロッパ系はスピードを求める傾向が強く、アメリカはどうも伝統的なデザインが好みなんだろうと思います。
     もちろん、レーサーなんかのデザインは別です。

     いずれにしろ、セーリングを重視したデイセーラーです。それは速さだけでは無く、操作性や安定性、美しさに
     おけるデザインも含んでいます。気に入ったデザインで自由自在を獲得して頂きたいと思います。


          

     

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