第一話 面白さをもう少し(アレリオン41)



     30年近くヨット業界に居て思う事は、全体的に、面白さが足りないんじゃないかという事です。時々の楽しさは
     あっても、やっぱり面白不足。その面白さはどこから獲得するかと考えますと、やはり、エアコンや温水、そうい
     う物では無く、ヨット本来のクルージングやレース、そしてセーリングそのものからではないかと思います。

     ピクニックはと言いますと、楽しいんですが、面白いとまでは行かない様な気がします。宴会も楽しい。でも、
     面白い程じゃ無い。たまにヨットに泊まるのも楽しい。でも、面白い程じゃ無い。楽しいは、時々味わうもの。
     面白さには、それ以上の感覚的高揚感がある。

     学んだり、発見したり、いろいろ試行錯誤する事で、進歩があって、変化がある。それが面白さではないかと
     思います。ゲーム性も出てきます。今度はこうしてみようとか、そういう意図が生まれます。それが面白さを生み
     出していくんじゃないか、そうじゃないと、長い期間に続ける事なんてでき無くなるんじゃないかと思います。
     だから、そういうクルージング艇も、ローカルレースなんかに参加される。そこには、面白さがあるからだと
     思います。走る時はみんな真剣です。だから面白くなります。ピクニックでも、そこに良い風が入ると、快走
     します。すると、はっとして、気持ちがセーリングに向かう。これは面白さだと思います。でも、偶然です。
     だから、意識的に面白さを求める事が必要じゃないかと思います。

     ところが、何人寝れる、あれもある、これもある、便利、等々ばかりを追いかけてきた。それらは楽しさを演出
     する事はあっても、面白さにまでは到達できないと思います。最初の2,3年間ぐらいは良いかもしれませんが。
     面白さを獲得できたら、楽しさなんて、いくらでも味わえる。むしろ、もっと楽しくできるようになると思いま
     す。別に、楽しさを否定しているわけではありません。それだけでは不十分だと思う次第です。やっぱり、
     面白さが無ければ。

     という事で、当社はその中のセーリングに注目し、デイセーラーを追い続けています。それで、セーリングするな
     ら、セーリング性能が重要になり、あれこれ考えております。前章迄に、全てではありませんが、40フィート以
     下のデイセーラーを見てきました。ここでは、40フィートオーバーのヨットを、いくつか見て行きたいと思いま
     す。サイズアップするとどうなるか?いくつかの理由があります。

     さて、前置きが長くなりましたが、今回はアレリオン41をご紹介致します。アレリオンシリーズの最大艇で、
     このヨットの特徴は、このサイズが示す通り、デイセーリング+クルージングです。サイズを大きくする理由の
     一番目は、キャビンスペースの拡大です。

     それで、排水量を見ますと、7,020kg。 デイセーラーにしてはやや重め、内装も造り込んであります。
     でも、一般クルージング艇より軽いのは当然です。バラストは2,189kg セール面積は87.5u。 
     SADRは23.5です。 かなりスポーティー感があります。この様に、デイセーラーを基本とし、クルージン
     グ性をサイズアップする事で高めています。

     マストはカーボン、バックステーを無くして、メインセールのローチを大きく取っています。パワフルなセールで
     す。ジブはセルフタッキングですから、ジブはそこそこにして、メインを操作して遊ぶ。ウィンチは電動ですか
     ら、ボタン操作で簡単です。でも、調整は任意ですから、そこを遊ぶ事ができます。

     日常はデイセーリングを楽しみ、時にクルージングに出かける。それも、このヨットなら結構ロングでも行けます
     ね。本来のクルージング艇は別荘にするんじゃないなら、こういうのが良いと思います。このサイズになります
     と、さすがに、キャビン天井も確保できて、真っ直ぐ立つ事ができます。一般クルージング艇程、キャビンは広
     く無いですが、充分だと思います。一般的に、クルージングはエンジンを使う事が多い。セールを使うのは、セ
     ーリングそのものを楽しむ時です。だったら、そこにセーリング性能が高い方がより楽しいし、面白くも出来ま
     す。

     帆走性能的には、ハイパフォーマンスクルーザーというレベルです。ただ、同サイズのそういうヨットと比べます
     と、排水量はそれより軽く、セールも小さく扱い易く、しかも、シングルハンド仕様であるという事です。その
     他、このヨットには、様々な工夫があります。是非、下のビデオをご覧ください。

  
  
  
  
   
 

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