第七十三話 Essence 33

さて、今回もオランダです。オランダは小規模の造船所がものすごくたくさんありますから、特に、デイセーラー建造には向いているのかもしれません。今回のヨット、前回のFlyer33と似ています。長さ、幅、排水量、殆ど同じで、デザインも似てます。でも、違うのは、バウスプリットとステアリングシステムです。

  
 
垂直に切り立ったバウと、後部側のオーバーハング、前回のFlyer33とほぼ同じ。ただ、デザイナーは異なります。今回のデザイナーはHoek、前回のはDykstra、どちらも有名です。決定的な違いは、バウスプリット、そこからフォアステーが出ています。という事は当然、ジブのセールエリアが大きくなる。ジェネカーはそのまた先からの展開です。もうひとつの違いは、こちらはステアリングホィール仕様です。

このジブセールのお陰で、セールエリアは大きくなり、メインとのトータルは56uになります。(Flyerは46.6u) それで、計算しましたら、SADR値が28.8になります(Flyerは25.5)。 という事は、このエッセンス33の方がパワフル。しかし、ただひとつ気になるのがバラスト重量、Flyerが1、050kgに対して、このヨットは850kg。セールエリアは大きくなって、バラストは軽くなった。しかし、これを即座に駄目とは決めつけれれません。強風になると、早目のリーフにはなるでしょうが、リーフで対応出来るという考え方もあります。その上で、フルセールでは絶対こっちの方が速いわけです。考え方の違いですね。どちらもプロのデザインですから、絶対駄目なんて事は無く、ただ、設計思想が違うのだろうと思います。その違いが投げかけられたと言う事になります。




  内装も出てきます。トイレが意外な処に。

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