第七十話 S&S 30


    

デイセーラーとして、30フィート前後というサイズは、世界的に程良いサイズなのでしょう。多くのデイセーラーがここに集中しています。今回のご紹介はアメリカ艇、トラディショナルデザインのS&S30です。このヨットにはオリジナルモデルがあり、1935年、マイアミ/ナッソーレースの為に木造にて建造されたレーサーがベースになっています。Babeと称し、アメリカ人には、人気艇だったのでしょう、その復活という事です。でも、そうは言っても、今時のヨットに仕上がっています。

当時の排水量は5、040kg、今回のは2、538kgとほぼ半減しています。技術の進歩ですね。船体はEグラス/デビニセルのサンドイッチ構造、樹脂はビニルエステル。キールはロングキールから、フィンキールとなり、変わらないのは、全長と幅、それにティラー仕様という事ぐらいでしょうか。バラストは1、080kgで、バラスト比42.5%、セール面積は42.7u、SADRは23.2と、その軽快さが伺えます。ちなみに、エンジンは14HPセールドライブです。

全体的に程良いバランスだと思います。昨今、特にイタリアなんかでは、かなりスピードを重視したデイセーラーが多く出てきています。一方、アメリカの方は、クラシック/トラディショナル系デザインが多く、スポーティーではあるが、我々一般が楽しむにおいて、そこまでは必要無いという考え方かもしれません。どちらが良いというよりも、考え方の違いですね。

  

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