第五十八話 感覚の不思議

車で高速を時速100Kmで走っても、ゆっくりした感じです。新幹線で時速300Kmで走っても、ゆっくりと居眠りさえできます。今度は海に出て、パワーボートで30ノットで走ったら、結構スピード感ありますが、10ノットだったらノロノロ程度にしか感じません。ところが、セーリングで10ノットでも走ろうもんなら、凄いスピードを感じます。人間の感覚って不思議ですね。

車や新幹線は世間の役に立ちますが、ヨットは役に立ちません。そして、我々の感覚は、ヨットでは極めて鋭くなる様にできてる。つまり、これはヨットは純粋な遊びであり、そして、感覚を刺激して遊ぶ事で、面白さを感じる様にできてるんじゃないかと思います。

ヨットの10ノットが凄いんじゃなくて、車に乗り慣れたはずの我々が、10ノットに凄いスピード感を感じるという事がすごい事なんじゃないかと思います。それが、セーリングという遊びなんだろうと思います。

誰もが、ヨットに乗っただけで、無意識ながら感覚的には鋭くなっている。だから、感覚を重視する事で最高に面白さが得られるのではないでしょうか? それがデイセーラーのセーリングです。例え、ハイスピードでは無くても、わずかな加速感や滑かさを感じ取れる鋭い感覚を持ってしまう。
それを刺激して、自分の感じる心を遊ぶのが、セーリングというものかもしれません。

    

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