第五十五話 セール調整

舵操作の明確な表現が分かったら、その時の状態にあわせてセールを調整する。セールの角度と形の問題。それをどういう方法で創るか? これがセーリングレベルで違って来る。

ジブシートとメインシートのふたつだけの操作でもセーリングはできる。だから、初心者でも、セーリングはやり易い。ただ、セーリングはできるものの、もう少し進化していけば、もっと違うセーリングも味わ得る。

走りは舵操作の意思によって決定しているので、風向と風速を考えて、いかに適確な調整ができるか? シート以外のいろんなロープ類を使って調整するわけですが、一般的にはその種類も多くは無い。

ハリヤード、バング、バックステー、トラベラー、カニンガム、まあその程度でしょう。これ以上やる方法もあるが、そこまで必要あるかないかは各自の判断、ゲーム性をどこまで高めるかになるかと思います。シングルなら、この程度で充分ではないかと思います。

操作はいくつもありますが、でも、基本的には、この風向と風速で、どういうセールの角度と形が良いのかを探る事になる。それで、セーリングが変化する。何をどう調整するにしても、セールを創るに、セールの形を想像して、その方法を考える。バングを締めた方が良いかとか、バックステーを引いた方が良いかとか、そういう事に考えを巡らす事になる。

ひとつひとつを考えれば、バングはブームを上下させる事になるし、ブームが上下すれば、セールの形はどう変わるのか?バックステーを操作したら、セールの形はどう変わるのか?ひとつひとつの操作で、セールがどう変わるのかを想像しながら、さらに、それらを組み合わせる事になる。
でも、全ての操作はセールの形作りと角度が目的です。

そうなると、風向風速はどの程度なのか、走っている舵のからの命令があって、その時にどういうセールの形が良いのか? それにはどれをどう調整すれば良いのか? 究極的にはとっても難しい。しかし、前記した様に、シート操作だけでも走れる。だから、徐々に、レベルアップしていけば充分セーリングを楽しめる。

ただ、操作をしたら、それがどういう変化をもたらしたかを観察する事が必要だろうと思います。操作に目的があり、理由があるわけで、ならば、その結果も見ないと、完結しませんから。完結してこそ面白さと言いますか、ゲーム性も出てくる。それに、こういう場合はこうしたら良いとかが解り、そのノウハウが蓄積されていきます。だから、より高いレベルでの自由自在感が生まれる。

舵とシート操作だけでも、自由自在感は生まれる。でも、それを徐々に高いレベルへと導く事で、セーリングの深さを遊ぶ事ができるんだろうと思います。セーリングとして走らせるだけなら、シート操作だけでも良い。だから、ピクニックならそれでも良い。でも、せっかくですから、ここで自由自在感を得てきたら、ちょっとレベルアップして行った方が、面白さが何倍にもなっていくのではないかと思います。セーリングはとっても知的なゲームになると思います。

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