第三十四話 アレリオン28

このヨットは今日のデイセーラーコンセプトを切り開いた定番ヨットです。私も大好きなヨットです。
アレリオン28が建造開始されたのが、もう20年以上前、それから、キール形状等々、いろいろマイナーチェンジはされてきたものの、基本的には変わっていません。

その後、今日に至っては、もっと速いヨットがたくさん建造されてきました。それやあ、アレリオン28を見て、それに比べてと、他の造船所はもっとを狙ってきたわけですから、当然です。しかし、今日でも、このアレリオン28の人気は高い。もちろん、建造艇数は量産じゃないので限られていますが、それでも、売れ続けています。

今日のデイセーラー群の中では、もはや軽い方には入らないでしょうが、でも、強風時の安定感は、シングルで安心だし、滑らかなセーリングも、反応も良い。ただ、微風におけるセーリングでは、やはり、今日の感覚では、少し重さを感じる向きもある。ある程度の風があれば、ジブブームを持つこのヨットでは、ジェネカーを必要とせずに、下りにおいて、ジブを効果的に開く事ができる。しかし、微風では、排水量の重さと、もちろん、セールの重さもある。

そこで、軽いスピン生地を使った微軽風用セールとかジェネカーを一枚加えて、微軽風対策を行うと、とっても面白くなる。もちろん、もっと速いヨットもあるが、一般的には、これで充分楽しめるかと思います。

さらに、見た目のデザインは、クラシック系で、時代の変化に左右されず、いつ見ても、美しいものは美しい。だから、世界で人気が高いんだろうと思います。今でもデイセーラーの定番なのだろうと思います。

但し、誰もが飛びつくには、やはり難点がある。これはデイセーラー共通ですが、キャビンが狭い。だから、セーリング中心になる。そうなると、未経験者では飛びつきにくい。従って、多くの場合は、経験者で、自分のスタイルがあって、何が必要で、何が不要でと解ってこないと、なかなか手が出せない。それに、キャビンは狭いが、沿岸用に比べると、価格が高い。それゃあそうです。セーリング重視なんですから。船体が違います。

殆どのオーナーは過去にセーリング歴がある方々ばかりなのですが、ひとりだけ、全くの初心者の方がおられました。それで、三日間、一緒にセーリングをして、4日目には、シングルで出て行かれました。初心者にも優しいヨットです。また、学生時代にヨット部で、社会人になってもヨットを続けてこられた方もおられます。この方曰く、初心者とベテランに良いヨットと言われた。その中間は、どうしても広いキャビンが欲しくなるから、だそうです。

という事で、世界には新しいデイセーラーが次々に生まれてきていますが、アレリオン28は、今でもデイセーラーの定番ヨットなのです。誰もがセーリングを気軽に楽しめるヨットなのです。

       

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