第十四話 レーサー

レースに特化したヨットです。これにも根強いファンがおられます。キャビン内は超シンプル。セーリング性能重視のヨットです。船体は非常に軽く、強固に造られ、セールはでかく(比較)、より速く走る為に建造されています。素材はハイテク、工法においても最新の工法が取られます。ですから、内装はシンプルでも、セーリングを重視しますと、高価になってしまうのは仕方が無いと言えます。

但し、レースはいろんなヨットが存在する中で、異なるヨットがフェアーに競う条件としてのルールがあり、それがレーティングとして与えられる。ゴルフのハンディみたいなものです。それがなかなか複雑で、多くの場合、ローカルとしては簡易なレーティングが与えられたりもします。厳密には難しい。

レーサーだから速いのは当然としても、でも、レーティングを有利にする為に、敢えて、遅くなる要素かもしれないが、それを採用する事もある。要は、一番に早くゴールするというより、レーティング修正後に優勝するというのが一般的な考え方になる。

それを嫌い、同じモデルのヨットで競うワンデザインというレースがあり、これなら、レーティングは関係無く、ファーストホーム艇が優勝という事で解りやすい。しかし、海外は兎も角、日本では同じモデルが多数揃う事が少ないという現状もあり、一部を除いては、日本ではなかなか難しい。

また、レーサーとして寿命の事もあります。寿命と言っても壊れるわけでは無く、もうそのヨットでは勝てないという寿命です。何しろ、次々に新しいヨットが開発されますし、また、ルールも変わったりしますから。 また、セールの寿命も言われますが、同じだろうと思います。勝てるか、勝てないかが問題なのです。ですから、買い替えを促されるわけですが、そうそう簡単に買い換えるわけにもいかず、苦しい処ではあります。

従って、本格的なレーサーを要するレースというより、レーサークルーザーによるレースというのが、特にローカルでは主流になるかと思います。どちらかと言うと、レーサークルーザーのレーサー寄りのヨットです。これですと、将来的にはクルージングとしても使えるので、ヨットとしての寿命を延ばせるという意図もあるとか無いとか? でも、実際は、これをクルージングとして使う方は多くは無い様に思います。

しかし、そうは言いながら、レースというのは我々が持つ競争意識を刺激してくれますから、非常にエキサイティングであり、スリルもあり、人に寄ってはこの上ない面白さを提供してくれる。また、オーナーに求められる知識や技術も、競争ですから高いレベルが求められ、彼らの研究は半端無い。ヨットを速く走らせる事もさることながら、レースとしての戦術、他艇との駆け引き、あらゆる技能が試される。はまってしまうと、なかなか抜けられないのかもしれません。

本格レーサーはなかなか手が出ないという場合でも、レーサークルーザーや、デイセーラーはもちろん、クルージング艇でもレースを楽しむ事ができます。しかし、まあ、当然ではありますが、レーサーには適わない。それはヨットの性能もさることんながら、彼らの技術もレベルが高い。そういう意味ではヨット界の頂点に居るのかもしれません。

一般的には、そういう本格レースに参加するのは簡単ではありませんが、ローカルのレースもあるわけですから、たまには、そういう真剣勝負のレースに参加しても面白い刺激になるのではないかと思います。

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