第九十五話 デジタルとアナログ

ヨットに計器がありますと走る目安ができます。それを使って、いろんな操作をして、目で見て、数値でスピード変化を捉える事ができます。とっても役にたちますので、レース以外のセーリングでも、御勧めしています。

計器は走っている状態を数値で表してくれますから、これは我々の頭脳を刺激してくれます。それで、次の操作を考えます。しかし、セーリングはそれだけでは無く、その走っている状態の数値以外もあります。滑らかさなんてのは、計器で表す事はできません。それは、感じるものであります。
でも、この数値以外で感じる処は、我々の感性を刺激してくれます。

常に、我々は両方を使っているわけですが、意識としては、これは頭脳ですから、頭脳変調になりやすい。でも、感性が刺激されると、面白さ、楽しさ、に繋がる。前者はデジタルであり、後者はアナログであります。

レースはデジタル傾向が強く、セーリングはアナログ傾向が強い。レース中に感覚的に浸るわけにはいきません。セーリング中は、数値だけに頼るのは味気ないと言いますか、自然に感覚的な部分も大きくなります。どちらも両方を使うも、傾向的には分かれていく。

デイセーリングをしている時、計器を使って遊びます。頭脳が刺激されます。それと同時に、同じぐらいの注意力を自分の感覚に注ぐ。すると、そのヨットの滑らかさを感じたり、加速感を感じたり、船体の動きの変化を感じたりします。それが結構面白さになると思います。ただ、真っ直ぐ走っている時でさえも、いろんな変化がある。鋭い方になると、船体が弱いと、その捻れさえ感じるそうです。だから、船体が硬いと滑かさを感じます。

頭脳に対する刺激も面白さに繋がりますが、感覚に対する刺激は、もっと面白さに繋がる。という事で、レースする時は頭脳重視、セーリングする時は感性重視が良いかな? セーリングでより良い感性への刺激を得る為に、計器を使い、頭脳を刺激して、理屈を考える。でも、その行為が、結果として、感性への刺激となり、面白さを増幅させる。デイセーリングのセーリングとは、こんな感じでしょうか?

感覚としては、頭脳が考えた操作自体からも感覚が刺激され、それに対する結果にも感覚が刺激される。要は、セーリングはプロセスであり、感覚の遊びであります。主と従があり、セーリングは感覚が主であり、レースは頭脳が主となる。

そうやって、その違いを意識的にわけて考えますと、乗り方に変化が生まれるのではないでしょうか?だから、セーリングでは敢えて、感覚をもっと意識してみたらどうでしょう? ただ、感覚ばかりでは進化は遅い。よって、頭脳も使う。という事で、デイセーリング派も、たまにレースに出たりるするのは有効かと思います。頭脳と感覚。この二つを意識的につかいこなせると、もっと面白い事になりそうな気がします。

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