第七十四話 デイセーラーの種類

私の知る処では、今日、世界のあっちこっちの造船所から、今日のデイセーラーコンセプトのヨットが建造されるようになりました。ざっと思いつくだけでも、20ブランド以上はあるかと思います。それも、殆ど、この20数年の中で出現してきたものです。20年前は考えられませんでした。それだけ、デイセーラーというコンセプトが市場に浸透してきている証拠ですし、今後もさらに増えていくかと思います。

サイズ的には20フィートあたりから、上は60フィートぐらいまであります。SADR値で言えば15前後から30前後、これは本格外洋クルージング艇のレベルからレーサーのレベルまであります。

その中で、最も数が多いのは、やはり30フィート前後です。このサイズに多くが集中しています。
という事は、デイセーラーが持つコンセプトを最も効果的に実現するに、最も相応しいサイズなのかもしれません。それと、このサイズが集中しているSADR値は、20前後〜25前後という処です。
つまり、30フィート前後で、SADR値がこの範囲というのが最も多く、それは、最も使いやすいサイズであり、セーリングを楽しむにもこの性能が最も面白いという事かもしれません。

今日、大きなヨットであっても、バウスラスターやスターンスラスター、電動ウィンチ等々によって、大きなヨットでも、楽に走らせる事ができるようになりました。しかし、これは理屈上はそうかもしれません。しかし、乗り手の気持ちとしては、いくら理屈上がそうであっても、気持ち的に気楽さは全然違うのではないかと思います。

シングルハンドにおいて、気持ち的に気楽さを保ちつつ、そのセーリングパフォーマンスを堪能できるという点を考えますと、やはり30フィート前後が良いという事だろうと思います。狭いながらも、そこそこのキャビンはあって、トイレもある。大きい必要は無いけども、無いのも困る。サイズがでかくなりますと、キャビンも必然的に広くなります。一般的には必要は無いが、たまのクルージング、それもウィークエンド程度よりもっと足を伸ばしたクルージングという点も含めて考えると、でかいサイズのデイセーラーへも発展の食指を伸ばしたと考えられます。

でかいサイズのデイセーラーは、日常におけるセーリングを重視しつつも、たまのクルージングも十分対応できるというものです。それはクルーザーレーサー的とも言えますが、違うのはシングルを可能にしている事だと思います。

今後においても、いろんな造船所から、いろんなデイセーラーが誕生していくと思われますが、恐らく、多くは30フィート前後になっていくかと思います。気軽にレースに参加したり、シングルでのセーリングを堪能したり、時に、家族や友人達とのピクニックセーリングも楽しめる。ここに想定外なのは、ロングのクルージングと別荘的使い方です。

この両方が自分のスタイルに無いのなら、クルージングしてもせいぜい1泊、2泊程度なら、また、ヨットを別荘的に使う事が無いのなら、30フィート前後のデイセーラーはとっても使い勝手は良いかと思います。それは世界中がそう考えている。だから、30フィート前後に集中してきます。

もちろん、20フィートでも60フィートでも構わない。デイセーラーとしてのコンセプトは活きてます。
もっと気軽な20フィート、但しキャビンはありません。でも、超気軽でしょう。60フィートなら、ロングも想定内になります。ただ、一般的では無いかもしれませんが。

という事で、デイセーラーコンセプトを最も有効に使うには、そこそこのキャビンがあって、トイレがあって、尚且、気軽に操作できて、諸々の要素を考えますと、30フィート前後が最もデイセーラーとしての面白さを満喫できるという事かと思います。そして、我々が使う多くの想定において、殆どを網羅できているのではないでしょうか?いかなるヨットであれ、多くのケースでデイセーリングという使い方が最も多いのではなでしょうか?ならば、そのデイセーリングにもっと特化したヨット、それがデイセーラーコンセプトであります。簡単に言うなら、走らせるという点において、キャンピングカーよりも、スポーツカーの方が面白いという事です。でも、レーシングカーじゃ手に負えない。

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