第五十一話 パフォーマンス

デイセーラーというコンセプトを気に入って頂けたら、それは気軽なピクニックと、それ以外のパフォーマンスの選択をどうするかという事になります。極めて時化に強いデイセーラーから、レーサー並みの速さを持つデイセーラー迄、その間にいろんなパフォーマンスがあります。

その選択の一助として、以前取り上げましたスポーツ度(勝手に作った造語)があります。セーリングを楽しむにあたっては、どの程度のレベルを望むかが各人各様ですから、どれが良いというわけでは無いと思います。

速く走れるヨット程、鋭敏になります。ですから、操作もそれなりになります。速いヨットも微軽風であれば、鋭敏ながら操作はできますが、これが強風になってきますと、スピードもぐんぐん上がるわけですから、それなりの操作をしなければなりません。

最も一般的にセーリングを楽しめるという場合、ピクニックから強風セーリング迄、個人的感想ではありますが、このスポーツ度が20前後あたりではないかと思います。強い風が吹いても、結構安心してセーリングが続けられるかと思います。これはデイセーラーの場合です。何故なら、高い安定性を持っていますから。例えば、アレリオン28なんかがこの範囲です。

このスポーツ度が25前後ぐらいになりますと、スピードも速くなります。という事は、強風時にはそれなりの操作が必要になってきます。このジャンルでは、アレリオン33スポーツ、オプティオ9なんかです。

他のモデル、例えば、アレリオン33、38、41等は、この両者中間ぐらいにあります。スポーツ度23ぐらいです。一方、ディナミカ940は、これを飛び抜けて高い。スポーツ度30前後のジャンルです。

このスポーツ度は、排水量に対してどの程度のセールエリアを持つかという計算で出しています。
ただ、セールエリアというのは変える事ができます。強風になればリーフをする。微風だったら、コースにもよりますがジェネカーなんかを展開する。微軽風用セールという事もあります。

ただ、セールエリアを拡大するも、縮小するも、そのヨットの基本的パフォーマンスは変わりません。速いヨットはやっぱり速い。その速さをどこまで求めるかになると思います。そして、速いヨットであればある程、それなりの操作は必要になる。ですから、面倒くさがっては速いヨットを堪能する事はできませんね。でも、そんなに面倒な事では無い。風を取り入れる、風を逃がす、等々をより細かくする事になると思います。そうすれば、そのスピードを楽しむ事ができます。

スポーツ度20前後というのは、クルージング艇の中でも速い部類あたり、スポーツ度25前後では、クルーザーレーサーと言われるヨットのでも速い部類、そして、30前後になるとレーサーあたりになるかと思います。そして、何と言っても、これら全部、シングルハンド操作を可能にしている。ここが、他のクルージング艇やレーサーとは根本的に違う処です。

シングル可能なら、クルーは不要で、誰をゲストに招待しても良いし、レーサーの様にクルーをハイクアウトさせる事も無い。それがデイセーラーなのです。そのシングルを可能にしているのが、重いバラストと船体の低重心、そして舵を持ちながら、操作に手が届く。だから幅は狭い。でも、コクピットは広いです。縦長です。何しろ、コクピットこそがメインキャビンみたいなものですから。

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