第四十六話 艤装

現在、先日入ってきましたディナミカ940の艤装をしております。やはり新艇は気を使います。しかし、面白いです。一般的に新艇だからと言って、全てがきちんと完璧ではありません。そう言いますと、誤解を招くかもしれませんが、艤装をしながら、こうした方が良いのではないか。ああした方が使い易くないか、等々を考えてしまいます。それで、たまにですが、オーナーにご提案をする事もあります。もちろん、大きな事では無く、ちょっとした事であります。

昔々、もう20数年前ぐらいは、マストを支えるワイヤーが短すぎたり、長すぎたりという事も実際ありました。長いのはカットすれば良いんですが、短いのは新しく作らなければならなくなります。そういう事もありましたね。今は、そんな事は、どこのヨットも無いとは思います。

また、艤装品が不足しているとか、積み忘れなのか、輸送途中で盗まれたか? 造船所は積み忘れとかは決して言わないでしょうし、結局、こちらで調達する事になります。幸い、艤装品は殆どが輸入物が主流ですから、たいていの品は国内で手に入ります。しかし、余計な出費が・・・
でも、良い造船所は、不足する事は殆ど無いし、もしあっても、ちゃんとその分の責任はとってくれます。

さて、良いヨットの条件は様々ありますが、良い造船所の条件は、簡単に言えばきちんとしている事ですね。日本人には理解できないような事もあります。例えば、何かの連絡をし、すぐに返事が来る。これは当たり前の様で、当たり前ではありません。良い造船所はすぐに来ます。そうでも無い造船所は、へたすると数週間して返事がきます。こういう造船所は相手にしない事にしています。また、何かの部品を送れと頼みます。すると、返事が来て送ると言ってきます。これで安心するには早い。送ったかと連絡します。送ったと返事が来ます。それでも安心はできません。

何故なら、通常海外と連絡を取る海外担当営業と、物を出荷する人は別人だからです。営業は出荷担当に部品の送付を依頼する。依頼したら、彼の仕事は終わりです。でも、出荷担当が本当に出すかどうかはまた別問題。それで、必ず、出荷した伝票をメールなりで送るように依頼し、それがきたら一安心。最近は、向こうから出荷伝票を送ってくるようになりました。

これも昔々、あるアメリカの造船所です。アメリカ国内での市場が大きいだけに、輸出した事が無かったし、その気も無かった。そういう事もありました。それで、輸出の仕方を知らない。これには困りました。それで、輸出について、ひとつひとつ教えた事があります。

今はメールという便利な道具ができたおかげで、写真も送れるようになりましたから、とっても重宝しています。昔はファックス、アメリカはファックスが大抵はありましたが、ヨーロッパでの普及は遅く、大手でもテレックスを使っていた事もあります。返事がなかなか来ない時は、時差の関係で夜中に電話したり。今日では、欧米の造船所も通信は良くなってきました。昔に比べれば楽してます。でも、油断大敵であります。

良い事もありますね。欧米の最新のトレンドが聞けたり、新しい艤装や考え方等が出てきたりします。やっぱり欧米はヨット先進国ですから、柔軟な頭で情報を得なければと思います。艤装の話から変な話に変わってしまいましたが、ご容赦を。さて、ディナミカを早く終わらせねば、オーナーがお持ちなので。

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