第四十二話 認識の変化

現在、イタリアのディナミカ940を艤装中です。当然ながら、いろんな人が見に来られます。

 DINAMICA 940

皆さん、速そうなレーサーですねと言われます。その度に、これはレーセーでは無く、デイセーラーですと応えています。そこの辺りはこだわりたいのです。これは、レーサーではありません。もちろんレーサーの如きポテンシャルを持っています。でも、デイセーラーなのです。欧米では、そういう認識に変化が起きています。

近年のレース界、ルールがどんどん変わったりしてきました。その度ごとに新しいルールに基づいたレーサーが生み出されます。しかし、オーナー側からしてみたら、そうそうヨットを買い換えられるものではありません。

そこで、欧米ではワンデザインのレースなんかも盛んになってきました。これならルール変更による買い替えの必要はありません。まあ、買い換えるにしても長いスパンで良い事になります。そんな状況を反映してのディナミカ940です。レースができます。デイセーリングも楽しめます。そうじゃなけりゃ、わざわざシングルハンド仕様にする必要なんか無いわけですから。

しかし、それだけでは物足りない。レースしていない時はどうるすか? という事で、レース以外ではデイセーリングを楽しみたい。という事で、敢えてシングルハンド仕様にしています。これは、ディナミカだけの話では無く、ヨーロッパには他に、同じようなハイポテンシャルのデイセーラーがいくつもあります。

もちろん、従来のレースも盛ん行われています。しかし、一方では、こういうワンデザインレースをターゲットにし、同時にセーリングをシングルで楽しむ事ができるという方向も広がってきています。
このヨットは幅は狭い。だからシングルで手が届きます。また、レースするにも、大勢は必要無く、3〜4人の設定です。

デイセーラーですから、セーリングの味わいも重要です。速いだけが命ではありません。硬いハル、バラスト重量は重く、比率は53%もあります。そんなヨットでセーリングしたら、さぞ気持ち良いでしょうね。

ヨーロッパのこういうデイセーラーのオーナー達の楽しみは、もちろんレース、だからデイセーラーの中でも速いヨットを選択します。でも、レースだけが全てではありませんから、普段はセーリングを楽しみとしています。その使い方は半々ぐらいだそうです。

ワンデザインなら、何も、ここまでのポテンシャルで無くてもレースを楽しむ事ができますが、そこはオーナーのお好みです。このディナミカのオーナーは普通はシングルやゲストを迎えてのセーリングを堪能し、レースの時は友人と3人でレースを楽しむ。そういうスタイルです。まさしく、ヨーロッパのスタイルです。

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