第百話 ギャップ

面白さの源泉はこのギャップにあるのかもしれません。日常と非日常のギャップ、マリーナに居る時とヨットを出した時のギャップ、ピクニックと本気セーリングのギャップ、ホームポートと旅先のギャップ、いろいろありますが、そのギャップがあるからこそ、それが面白さになっていくのではないでしょうか?

しかしながら、ギャップが大きいから良いという事では無く、例えば、日常が面白く無いから、非日常が面白くなるという事では無く、日常を楽しみ、また非日常も楽しむ。ギャップは、その日常と非日常の内容にギャップがあるという事です。

だから活気あるマリーナで、そこを楽しみ、ヨットを出した時にそれを楽しむ。ピクニックを楽しみ、また、本気モードのセーリングとの違いを楽しむ。互いが相反する事では無く、互いが相乗効果を持つのではないかと思います。ですから、一方だけを楽しむというのでは無く、両方を楽しみ、その内容の違いというギャップを楽しむ。

それで、日本の場合はマリーナに期待しても仕方が無いので、ギャップを自分で創ります。創るというのは、敢えて意識します。マリーナの環境や雰囲気、ピクニック、本気モードのセーリング、レース、クルージング、別荘的使い方、少なくとも二つ以上を意識して、そのギャップを考えます。

マリーナ環境はどうしようもありませんが、自分でできる事を考えます。もちろん、デイセーラーだったら、ピクニックと本気セーリングになろうかと思います。そのどっちかでは無く、両方をより楽しくする方法を考えます。本気セーリングを御勧めしていますが、恐らく、それ単独で面白くするのは、より高いモチベーションや情熱が要求されるかもしれません。それで、両方を楽しむ事で、面白さの相乗効果を狙うという話です。

ピクニックをより楽しむ為に、家族や友人を頻繁に招待する。そして、よりゲストに楽しんでもらう工夫も考えます。ゲストにとってヨットはエキゾチック感があるかもしれない、しかし、それは最初のうちかもしれない、二回目以降になりますと、そのエキゾチック感も減少してきます。ですから、セーリングに参加してもらいながら、いかにピクニックを盛り上げるか?

このピクニックが楽しければ楽しい程、本気モードのセーリングが面白くなると思います。同じ様なセーリングでも、ピクニックと本気モードとのギャップを楽しむ事ができます。ピクニックが楽しいからと言って、そればかりでは、やがて飽きてくる。ギャップが無くなるからです。それで、本気モードセーリングを加えて、ピクニックと本気セーリングとの違いのギャップを創る。

どういうスタイルにせよ、二つ以上の何かを意識して、そのギャップを楽しむ事を意識して、それぞれを楽しむという事を考えた方が良いのではなかろうか? そうこうしながら、一方への情熱が高まったら、二つを追う必要も無くなるかもしれません。

本気モードセーリングに対して情熱が高まってきたら、今度は、風向や風速の違いにおけるセーリングの違い、操作の違い、そういうギャップを楽しめる。この場合も、微風だから仕方無いというやり方よりも、その微風をいかに楽しめるようにするかと考えた方が、快速セーリングの時のギャップを楽しめるのではないかと思います。

ギャップを楽しむ。二つ以上の要素を、それぞれを楽しむ事によって、全体を楽しむ事ができるのではないかと思います。決して、ギャップの片方を疎かにしない事は重要かもしれません。

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