第八十三話 馴染み感

何でもおなじですが、何か新しい事をする時は、違和感があります。緊張感もあります。体も心も、それに馴染んでいません。しかし、続けていくに従って、徐々に馴染んできます。この馴染み感こそが、それを本格的に自分の物にできるスタートになるのではないかと思います。

舵を持つ手に、シートを引く手に、何だかぎこちなさを感じている時は、まだまだです。でも、どんなレベルであろうとも、その操作に馴染み感が出てきます。すると、実にスムースに操作をする事ができます。この時、心も体もリラックスしています。例え、メインとジブの各1本づつの操作しかしていなくても、この馴染み感が出てくると、実にリラックスできます。楽しむ準備として、このリラックスがあった方が良いと思います。

一旦、馴染んできますと、実に楽に操作をする事ができるようになるし、無駄な動きも無くなっていく。上のレベルを考える余裕も出てくるし、感じる処も多くなってきます。さて、ここから、さらにステップアップしていきます。そこが面白さの広がりだと思います。

スポーツを遊ぶ。デイセーラーによる、デイセーリングの探求です。他のスポーツの世界と同様に、プロレベルもあれば、簡単なレベルもあります。ヨットの場合は、本格レースというすごいセーリングの探求もあるかと思えば、殆どセーリング自体には無頓着という事もあります。どうもそれが極端過ぎる気がします。

適度なスポーツ、自分のレベルのスポーツ、スポーツを遊ぶです。極端を目指す必要は無く、自分のスポーツを遊んで欲しいと思います。

それも、これも、まずは、心と体に、馴染み感を持ちたい。まずはそこからだと思います。それには、数多くセーリングする事。長い一回よりも、短くでも何度も乗る事で、より早く馴染み感を持てると思います。

これって、実際載っていますと、感覚的に全然違います。馴染んでいればこそ、いろんなセーリングに臨機応変に考える事もできるし、対応もできるし、でも、心はリラックス。

子供の頃、自転車の練習も、最初はぎこちないが、そのうち馴染んできて、如何様にも走る事ができるようになります。何も、競輪選手の様に速く走れなくても、如何様にも自由自在に走らせる事ができます。この一旦馴染んだ感を得ますと、その後、どんなにブランクがあっても、体は忘れないですね。知識は忘れる事もありますが、心と体は忘れない。知識なんてすぐに取り戻せます。

馴染んだ感は、一体感みたいなものですね。面白くないはずがありません。簡単な操作レベルで馴染み感を得て、徐々にステップアップしていきます。そこにも馴染み感を得て、またステップアップしていく。そのプロセスこそが面白さだろうと思います。そうやって、自分のセーリングをスポーツしていく。それがデイセーラーの本来のコンセプトです。

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