第七十六話 デイセーラーの対応

デイセーラーのデッキは、桟橋から階段を一段程度上がったぐらいです。この事は乗り降りが楽というだけでは無く、セーリング中にも、この低さが非常に気持ちが良いです。

この低さが一部の方は強風時とかを心配される方もおられますが、全くその心配は無用です。もし、そうなら、売れるわけがありません。また、当然バウ側も低いので、波をより被りやすいと思われる方もおられますが、全く波を被らないとは言いませんが、でも、それはバウが低いからでは無く、船型の問題です。お持ちのイメージは消去して頂きたいと思います。

さて、デイセーラーはセーリングを楽しむヨットです。従って、一般的なクルージング艇とは異なる考え方があります。例えば、コクピットドジャー、これは、波除け、雨除け、寒さ除け等で、クルージング艇には定番になってきました。しかし、デイセーラーでは設置する方が少ない。ビミニトップしかりです。

多くの方々は、これら無しの方を好まれます。ドジャーもビミニもその効用は解ります。しかし、必要無いと考える方の方が圧倒的に多い。これらはセーリングには無関係ですし、場合によっては邪魔になる。

何かがあると、それを防ぐ何かを考えます。これは我々の自然な発想です。しかし、その内容によっては、本来の要素を阻害する要因になる事もあるかもしれない。 むしろ、無い方が良い場合もあるかもしれない。考えようによっては、その方が面白さがあるという事もあります。雨が降って濡れると嫌です。波を被って濡れると嫌です。でも、そんな事ばかり考えていては、楽しみが減らないか? それより、海なんだから、自然なんだから、濡れたって良い。多少寒くたって、着れば良い。そのくらいの気持ちが出てくると、実にシンプルに、より楽しむ事ができるようになるかと思います。

決して、それらを否定するわけではありませんが、何でもかんでも付ければ良いという事は無いと思います。自分の遊び方を考慮して、その上での判断があるべきと思います。でも、デイセーラーを見ますと、そんな物必要無いな〜と誰もが自然にそう感じる様です。そう感じさせてくれるとも言えます。

あれも、これも、設置すると便利とかの方向で考えますが、無い事の良さを考える方は少ないかもしれない。

嫌な物はよける、避ける、でも、考え直して、そのままでも良いや、と思えたとき、実に気楽になれると思います。気軽に出して、走ってくる。そんな、本来はシンプルな行為が、いろんな武装をしてきた事によって、むしろ遠ざけてきた感も無きにしもあらず。

あれもしたい、これもしたい、いろんな事を考えます。そうすると、あれも、これも必要になる。そうすると、ヨットはどんどん武装してきます。でも、したいあれやこれは、それら無しでもできる。ちょっと工夫するだけで良いとか、そう思えると、もっと気楽に楽しめるようになると思います。

ただ、一点、自分が楽しみたい事の軸には、より面白さの為に、武装は必要だと思います。もちろん、デイセーラーはセーリングを軸に考えます。それで、他の事はどうにでもなるもんです。軸になる一点だけは逃さないなら、他はどうにでもなると思えてきます。

もっと気軽に、セーリングを楽しんで頂きたいと思います。

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