第二十一話 別荘ならぬ書斎

ヨットを別荘と見るには無理がある。滅多に泊まる事は無いから。本物の別荘だって、滅多には利用しないのが実情だ。別荘地には閑古鳥が鳴いている。全部とは言いませんが、そういう別荘が多い事は事実だろうと思います。まして、ヨットは別荘にはならない。何故なら、本物の別荘の方がより快適だろう。それでも、使われていないのだから。

ならば、もっと気楽に考えて、別荘では無く離れの書斎と考えよう。ちょっと遠い離れではあるが。
マリーナに来て、乗れない日もあります。風が強すぎるとか、どしゃぶりの雨になったり、雷なったり。そんな時は、帰るも手だが、この際、書斎として、例えば読書なんかしても良いかもしれない。普段はなかなかひとりになる事が難しい自宅です。ここはひとりだけの書斎であります。

セーリングを目的にマリーナに向かう。もし、それができなかったら、キャビンを書斎として、目的を切り替える。すると、二つの目的が生まれ、どっちかは必ずできる。しかも、どっちもひとりでできる。別荘をひとりで使うのは寂しいかもしれないが、書斎ならひとりの方がむしろ良い。

読みたかった本、話題の本、興味のある分野の本、いろいろあるが、ここはじっくり読書を楽しめる。ただ、時々、気が利かない奴が居て、キャビンに居る事がわかると、わざわざ来てこんにちはと声をかけてくる奴が居る。本音はほっといてほしいと思うが、そうもいかない。

入口にホテルのドアにぶら下げる札でも貼っておくと良いかもしれない。しかし、変な奴と思われそうで、そういうわけにもいかないな〜。まあ、仕方無いとコーヒーでもご馳走して、ちょっと雑談して返す。でも、そのうち、キャビンに居る時は読書している事が解ると、この人も察してくれて邪魔しに来ないようになるだろう。

書斎では読書以外に、楽器を練習している人も居る。昼寝する人も居る。使い方は様々。大音響でクラシックを聴く人も居た。以外に船外には音があまり漏れ無い。船内には2ベッドルームにメインサロンがある。書斎にはそんなでかい広さは要らない。まあ、メインサロンだけで十分でありますね。ならば、デイセーラーのキャビンでも十分じゃないかと思うわけであります。

デイセーラーのキャビンは狭いとは言いながら、結構使い勝手はあります。それは書斎と考えれば十分過ぎる。ベッドルームもある。セーリングするだけがヨットじゃ無いと言うならば、悪天候の時、気分が乗らない時、是非、書斎として活用してみては如何?

そう言えば、既に引退した方がおられて、殆ど毎日マリーナに来ては、セーリングしたり、新聞読んだり、そこにお邪魔して、いつもコーヒーをご馳走になっていました。そう、私、お邪魔する方でした。気が利かない奴でした。でも、ヨット談義はオーナーも楽しんで頂いたんではなかろうか?

最初から書斎程度と考えれば、キャビンに対するつきあい方も気楽になれる。装備もそんなには必要は無い。まあ、でっかいキャビンはロングクルージング用と考えれば、デイセーラーのキャビンは書斎です。

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