第十一話 アレリオン28のセーリング

デビューが1990年ですから、もう20年以上です。その間に、キール形状が変わったり、エンジンが変わったり、また、ジブブームというものが追加になったりしてきました。でも、マイナー的な変更に過ぎません。この決して新しくもないヨット、今でも売れ続けています。その秘訣は何だろう?

セール面積/排水量比は約18です。数値的にはまあまあ、強風には強いが、微風ではもうちょっと走ってほしいと最近では思う事もあります。でも、セーリングは滑らかですし、シングルハンドには非常に使い勝手が良い。全体的に、速すぎて手に余るという事は無いし、鈍いわけでも無い。我々がシングルで遊ぶには丁度いいぐらいじゃないかと思ってます。だから、今でも売れ続けている。

ジブブームがありますから、少し風が吹けば、ジブとメインの2枚だけで、上りから下りまで、あらゆる角度をそのままで走れます。十分に面白いセーリングができると思います。ただ、微風になったとき、風がセールを押して、セールがセールの形を作れない以上、セーリングとして推進力は生まれません。それに2、500Kgという重量は重くはありませんが、それ程軽い方でも無い。

風がセールを押して、セール形状を作れれば推進力を生み出すが、それ以下ではどうしようもありません。退屈感が出てくる。そこで、微風用セールが登場です。まあ、これは他のヨットでも同じですが。

このセールを使って、微軽風での走りを楽しめます。そして、ある程度風がある時は、強風も含めて、ジブとメインで楽しむ事ができる。そして、そのセーリング感は滑らかで、海面は近いし、操船していて実に面白い。それがこのヨットの魅力なんだろうと思います。もちろん、メインとジブにもっと軽い良いセールを使えば、もっと性能は上がりますが、まあ、それは別としても、この程よい感じのセーリングは自由自在感を満喫するにも良いと思います。

コクピットに座って、舵を握り、いろんな操作ができます。ウィンチ無しでできます。ウィンチを使うのはメインを上げる時ぐらいです。だから、操作して、同時に舵を握ってますから、すぐに反応が伝わる。それが面白いです。

アレリオンには他のモデルもあります。33になりますと、セールエリア/排水量比はもっと上がる。
だから、微軽風での走りはもっと良い。でも、強風でも速いですが、それなりの対応が必要になってくる。それはそれで良いわけです。面白いです。ただ、速い分、ちょっと手間はかけてやる方が良い。そのつもりがあるかどうかです。

でも、アレリオン28というヨット、レーサーの方々には満足できないかもしれないが、元々レーサーでもなし、我々一般が、セーリングを核にしてヨットを堪能したいと思う時、十分堪能できるのではないかと思います。それも、シングルで、気軽にです。

こうなれば、デートセーリングも、ピクニックセーリングも、十分楽しめますね。一押しのヨットなのです。ある方はこう言われました。アレリオン28は初心者にとっても操作し易いので、良いし、ベタランになったら、細かい操作にも反応してくれるので、初心者とベテランに良いヨットだと。 その中間の方々は、多分、もっと速いヨットをとか、もっと広いキャビンをとかになるかもしれないが?
でも、アレリオン28のセーリングを考えますと、程良い感じがします。セーリングを本当に楽しめるヨットだと思います。過ぎないマイルドさがあると思います。だから、今でも売れ続けている。

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