第三十七話 スポーツデイセーラー

スポーツカーにならってこういう言い方をしました。デイセーラーはみんなセーリングをスポーツとして捉え、セーリングを楽しむ為に建造されているヨットです。スポーツと言っても様々ですが、基本的には、セーリングを目的として、セーリングを求め。、セーリングに上達し、セーリングからいろんなグッドフィーリングを得たい。だから、必ずしもスピードだけが命というわけではありません。

スポーツデイセーラーには、それ程高速では無い性能を持つヨットもあれば、かなりのスピード性能を持つヨットまで、いろいろなタイプがあります。それらは、各人の好みにおいて、その性能をどのように堪能したいかによって選択されます。

例えば、ノルディックフォーク25。 極めて強風に強いヨットで、排水量/セール面積比としては重いヨットになります。このヨットの特徴は、実に波あたりが柔らかい事です。ぜったいスピードは速いとは言えませんが、フリーボードの低さからくるスピード感は面白いし、レースに出て云々ではありませんが、セーリングとして面白いヨットです。安定感も抜群であります。

ハーバー25やアレリオンシリーズでは、ここらが最もデイセーラーとしての中核を成すヨットです。
セール面積/排水量比にしても、少し軽くなり、スピードも出てきます。レスポンスも上がりますし、セーリングに滑らかさを感じます。そしてシングルでも操船し易く、スポーツとして楽しむには最適なヨットとなります。 さらに、アレリオンシリーズの大型艇やイーグルヨットシリーズでは、そのスポーツ性はもちろんですが、加えて、サイズからくる優雅なセーリングという感じも出てきます。

そしてさらに、ディナミカヨットになりますと、スポーツ性は非常に高まり、軽く、大きなセールを持つヨットです。それでも、シングルハンドでファミリーセーリングも視野に入っておりますし、もちろんながら、レースでも好成績を残せるヨットです。

こうしてみますと、この20年ぐらいに、デイセーラーとしてのスポーツ性にバリエーションが加わってきました。当然の進化の仕方かと思います。どのあたりのスポーツ性を求めるか次第で、いろんなセーリングを味わう事ができます。

スポーツとは言ってもいろいろです。ゆったり感のあるスポーツもあれば、ハイスピードのスポーツもあります。要は、ヨット好きが、セーリング好きが、セーリングを目的にする時、そこから何を得るか? それがスポーツセーリングだと思います。それに対して、デイセーラーの造船所は、ヨットを通じて提案している事になります。

これらのヨットは従来のヨットとは異なります。何故なら、目的が違うからです。レーサーの持つ目的でも無いし、クルージング艇の目的とも違う。だから、ヨット自体が違うのは当然です。クルージング艇でもスポーツセーリングはできます。しかし、やっぱりその専門として特化したデイセーラーとは違います。

デイセーラーはヨット好き、セーリング好きの為のスポーツデイセーラーなのです。それに対して今のクルージング艇は、何でもできる。言わば、デパートみたいなもので、一方デイセーラーは専門店とも言えます。

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