第二十四話 セールと風と数学的遊び

ノルディックフォーク25というヨットがあります。このヨットは排水量が1,960Kg、バラスト重量は
1,040Kg、セールエリアはジブとメインを合わせて、24uです。そして、このヨットのSADRは15.5です。低い数値です。重いと考えられます。だから、微軽風は得意ではありません。しかし、このヨットにはリーフなる装備がありません。造船所曰く、リーフはしないでも、極めて強風に強いと言います。

例えば、風速15mとして、多分、一般的にはこれ以上の強風でセーリングを楽しむという事はそうは無いでしょうから。こういう事にします。そして、このノルディックフォークはフルセールで走れるその限界だと、仮に想定します。

ここから、文化系の人間が、単純計算をしながら、数学的遊びを試みます。24uのセール面積に風速15mがプレッシャーを与え、それを1,040Kgのバラストが支える。これを単純に計算してみます。もちろん、実際はこれ程単純では無いんでしょうけれど。お遊びとお考え下さい。

24 X 15 ÷ 1,040 = 0.346 という数値が出ます。これはバラスト1Kgが0.346というプレッシャーを支えているという事になります。もし、これがリーフをしないで走れる限界だと仮に過程しますと、この数値を使って、他のヨットも計算できます。

アレリオン28のセールエリアは32.70uです。バラスト重量は990Kg。 もし、1Kgのバラスト重量が支える限界が0.346だとすると、これで計算しますと、 32.7 X (風速) ÷ 990 =
0.346とならねばなりません。これで計算しますと、風速は10.47という事になります。つまり、これがもし、正しければ、アレリオン28は風速10.47mまでフルセールで走れる事になります。

もちろん、この計算が正しいとは言いません。リーフする前にセールをフラットにしたり、リーチを開いて風を逃がしたりの操作側の対応の仕方によっても違ってきます。 いい加減な計算だと言えばその通りであります。しかし、ちょっと面白さを感じてしまいます。

これほど単純では無いにしろ、そのヨットがフルセールで走れる限界を計算できたら、結構目安になるのではと思います。実際は複雑な数学の計算がなされるんでしょうが、理論値として、こういうデータが出てくれば、デザイナーが計算して、出してくれるようになると良いかな。そして、自分の操作で、もうちょっと伸ばす事もできる。

ポラーダイヤグラムなるものがありますが、何度の方向で、何ノットの風で、どの程度のスピードが出るかがグラフに表される。でも、あれは限界を表すわけでは無いと思います。

もし、フルセールの限界が事前に解れば、結構参考になるのではなかろうか? 強風に対する強さが分かりますから。もちろん、その時のスピードはそれぞれですが。

無駄な計算かもしれませんし、無意味かもしれません。でも、自分でいろいろ考えて、こうやって遊んで見るのも悪くない。そして、それが実際のセーリングではどうなのか?と確かめる事ができれば、自分の遊びを裏付けるものになるし、もし、違っていても、それはそれであります。遊びですから。ですから、ここでの計算には責任持てませんので、悪しからず。

中風だったら、結構セーリングは誰でも楽しめます。でも、微風だったり、強風だったりの時はどうするか?そこをできるだけ対応できる様にしておくと、遊びの幅は広がります。そういう事を考えてひねりだした計算なのですが、もし、惑わしたりしただけで終わるかもしれませんので、それは済みません。しかし、自分でもいろいろ考えてみると、面白いかもしれません。

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