第58話 あらゆる達人

達人はセーリングのみに限る必要は無いですね。メインテナンスの達人、船で作る料理
の達人、他にもたくさんあるでしょう。身近にできる事、そういうものを繰り返し行う事で
誰でも達人になれる。前にも言いましたが、技術の達人では無いのです。自分が楽しむ
という達人です。船内で何もせずにぼ〜とできる、それを楽しんでいるなら、それも達人
のレベルです。

考え様によっては、ヨットはいろんな使い方がある。前話で書いた達人には皆さんになって
もらいたいと思いますが、その他にも達人のレベルがひとつでも多くなると、楽しみは増え
ます。セーリングしない時は、他の分野でも楽しめる。マリーナにとにかく良く来る。ヨットの
中で過ごすだけでも楽しい。読書したりするのも楽しい。昼寝したり、釣りしたり、会話を
楽しんだり、ヨット眺めたり、艤装に工夫したり、掃除したり、チークにニスを塗ったり、それ
ぞれの分野を楽しむ事も、自分さえその気ならできる。楽しめる心を持つ事が達人のレベル
なのです。何故なら、行為そのものが楽しいわけでは無く、自分に楽しい心があるから楽しい。
その心を持つというのは達人なのです。

ヨットを使いこなすには、自分がどれだけ多くの種類の達人になれるかです。ある条件が揃わ
なければ楽しめないなら、その条件だけの狭い範囲の達人です。その範囲が広ければ広い程
達人のレベルは高い。それをひとつでも多く持つといつでも楽しめる。でも、都合の良い事に
何かひとつでも達人になれると、他の分野でも簡単に達人になれるのです。何故なら、ヨットに
関わる何かの分野で達人になると、ヨットにもっとかかわっていたいと思うようになるからです。
ですから、自然に、何の苦労も無く、達人になってしまう。そうすると、いつか気づいた時にたく
さんの分野での達人になっている。

まずは、前話のショートクルージングの達人になって下さい。その他は、後からついてくる。これ
はヨットだけでは無いかもしれません。あらゆる分野で、自分が楽しめる域にまで達する事が
達人のレベルで、それができる人は人生の達人ではないでしょうか。どうせやらなければなら
無いなら、嫌なことでも、どうにか楽しんでやろうと思う人が居ます。

動かないヨットが多いという事は、達人のレベルになっていないという事です。それにまず気付く
事が先決で、それに気付いたら、何かひとつ達人の域になる事です。いろんな、たくさんの事は
できなくても、ひとつ、ちょっとあいた時間にこれだけはしようと思う。それを行動に移せば、そし
てそれが楽しめれば、あっという間に達人です。楽しくなりますから、この効果は次々に波及し
いろんな分野で達人になれる。これがひとつも無いなら、あれもこれも条件が揃わないとと思う
なら、やめた方が良い。でも、最初に興味を持った時のことを思い出せば、必ずあるはずです。

次へ        目次へ