第三十八話 アルコナヨット

スウェーデンからはるばるアルコナヨットが到着します。スウェーデンを出たのが確か1月16日、到着が2月25日ですから40日間です。40日間かけて、遠路はるばる海を渡って、それも当初の予定通り、この距離を、しかも海を走って、予定通りというのだから、すごいもんです。1日も狂いがない。この正確さはまるで日本人の様。たいしたもんです。

到着日が月曜日というのはラッキーなのです。これが金曜の夕方とかになります、通関をクリアーするのに、月曜まで待たねばならない。そうなると、土曜と日曜の二日間、寝かせておくだけですごい経費がかかります。しかもヨットは大抵税関の検査が入る。書類手続きだけにはなりません。それで検査料がかかって、もちろん拒否はできません。それで、税金払って、クレーンで積み替えたりして、結構な経費です。

また、国内での移動。これがまた高い。日本の道路規制の問題もあります。本体とマストと、トレーラーを2台使う。マストが長いから。こういう面では、海外はもっと緩やかですし、費用もそれ程では無い。ヨットの輸送という問題が、もっと身近にあるのかもしれませんね、少なくとも日本より。
それは兎も角、日本に住む限りは、日本の規則に従わねばならない。

ところで、このヨットは日本初。ハイパフォーマンスクルーザーであります。当社が扱うデイセーラー以外の唯一のヨットです。何故これを選択したかと言いますと、クルージング一辺倒では無く、帆走を楽しむという事を前提に建造されているからです。私の見る処、このヨットを少人数でデイセーリングを楽しみ、時に、ロングのクルージングも楽しめる。デイセーラーではショートクルージングの範囲ですが、これはロングが可能です。

船体は最新のバキュームバッグ/樹脂のインフュージョン工法を採用しているので、重くならず、硬いハルができる。おまけに、船底には鉄製のフレームがあって、これがキールもリギンも受ける。さらに、セールは105%ジブが標準で、これで十分デイセーリングが楽しめる。105%なので、敢えて、セルフタッキングにもしなかった。

ステアリングは大口径のステアリングホィール。ツウィンラットが流行りという事もありますが、個人的にはこの大口径ラットの方が好みです。メインシートトラベラーはもちろん、コクピットにある。これはその方が良い。デッキはオーナーの好みでチークデッキです。手入れは多少大変かもしれないが、メインテナンスをすれば実に美しい。

日常的にはセーリングを楽しんで、たまにロングを含めたクルージングができる。デイセーラー以外に、ちょっと範囲を広げる目的のヨットです。このヨットでクルージングだけというのはもったいない。やっぱりセーリングであります。

スウェーデンは北欧、やっぱり北欧らしいしっかりした造り。それに流行を追うより、ちょっとオーソドックスな感じ。これも、これからの長期間を考えれば、一時期の流行りに左右されないのも良い。
でも、技術面では、ちゃんと最新工法を抑えている。そういう考え方に賛同しております。

次へ       目次へ