第八十三話 微軽風〜強風

あらゆる自然条件がある中で、理想的には、微軽風でも走り、強風に強いヨットという事になりますが、現実はそうはとんやがおろさない。もちろん、微軽風でも強風でも、その走りのどの程度を求めるかにもよりますが、ここでは一般的な考え方として考えます。

微軽風に走るヨットの条件としては、船体が軽い事。軽いというのは相対的で、セールエリアに対して軽い事。重いヨットでも大きなセールエリアを持てば、その分軽いと言えます。しかし、大きすぎるセールエリアは操作が大変です。従って、船体を軽くつくります。

ところが、そういうヨットは、強風に対しては、ちょっと早めのリーフを検討する事になります。何故なら、船体が軽い故に、バラストはそのバラスト比が高くても、全体重量に制限されるからです。
排水量が軽く、例えば、3,000kgだとして、50%のバラスト比でも、バラスト重量は1,500kgです。これが、排水量が4,000kgで、2,000kgのバラスト比ならば、この方がリーフのタイミングは遅くなります。もちろん、この重量だけでは無く、他の要素もありますが。大雑把な話です。

という事は、微軽風が多く、そこを何とかしたいなら、軽いヨットが必要ですが、でも、強風にはリーフタイミングが速く来る。これは仕方のない事です。それで、バラストを重くしたら、リーフタイミングは遅くなるものの、微軽風が遅くなる。

ただ、上りから下りまでのトータルセーリングを考えますと、やはり軽い方が速いし、クルーが居るならその体重も活かせます。考え方としては、強風はリーフをすれば対応できるが、微軽風は、その重量とセールエリアにかかっているので、大きなセールに取り替えるかという対応になってしまう。でも、セール何枚も持つわけにもいきません。

という事で、微軽風に強いヨットは、強風ではリーフすれば良い。そういう事になります。

もうひとつの考え方としては、少し重いヨットで、重いバラストで、そうしますと、強風でのリーフタイミングは遅くなります。しかし、微軽風では遅くなる。よって、微軽風用のセール1枚を追加で持つ。
これは今まで散々書いてきました。あくまで微軽風用のセールです。

この二つの考え方は、使い方によって違ってくかと思います。レースなら前者、セーリングなら後者、そんな感じかなと思います。

もちろん、バラスト重量だけがこの要素になるのでは無く、キール重心を下げたバルブキールは有効ですし、船体の幅も有効になります。ただ、これら全ての要素をどのようにバランスさせるかは、難しい問題かと思います。レース優先、デイセーリング優先、クルー有りか無し、乗り手の性格もあって、面倒くさいからできるだけ楽にと思われるか、或は、いろいろやるのが好きな方とか、いろいろであります。

一般的なデイセーラーを考えますと、やはり軽すぎるより、やや重量がある。もちろん、クルージング艇より軽い事は言うまでもありません。でも、レーサー程軽くはない。それで、バラスト重量をできるだけ高めて、リーフタイミングを遅くし、その時の微軽風に不満なら、微軽風用セールを持つ。そんな感じでしょうか。

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