第七十二話  繊細さ

日本人というのは繊細な民族なんだな〜と思います。物作りにしても、高い技術で日本は有名ですが、その基になるのは、やはり日本人の極め細やかな心ではないでしょうか?物が用を成すというだけでは無く、より深く研究されて、より良い物となっていきます。

物作りだけではありません。サービスでも同様で、これもまた細かい気を使ったサービスがなされます。そう言えば、ミシュランの星マークですが、今では、本家本元のフランスより、東京の方が、星マークを得たレストランが多いと聞きます。

これらの根底にあるのは、日本人の繊細な心、きめ細かい心、研究熱心さ、そういう処から来ているのでは無いでしょうか。

東京の電車は、非常に複雑です。それが数分間隔で来て、待たずに乗れて、しかも正確であります。こんな事は奇跡的かもしれないし、第一、欧米であれば、最初からこういう複雑でありながら、正確に運営するなんて考えないのではなかろうか?

これが良いかどうかは別にして、それが日本人の気質であり、だからこそ物作りでも、サービスでも、最高のレベルになっているかと思います。

ただし、この繊細な気質は、例えば、世界を回るというような大胆さを要求されるような場合では、あまり得意では無いかもしれません。こういう場合は繊細さより、ある程度は大雑把な方が良いかもしれない。

従って、日本人のセーリングは欧米人とは違っているのではないかと思います。物理的なスピードを求めるも、そこには、日本人の極め細やかさがが発揮されて、時に、時化た時には、欧米人以上に恐怖感を感じたりするかもしれません。

日本人のセーリングでは、もっとフィーリングを重視したらどうでしょうか?繊細さを持つわけですから、スピードを求めつつ、そのプロセスにおけるフィーリングを大事にして、また、大雑把では無い、細やかさを実行しつつ、微妙さをも感じ取れる。そんなセーリングはどうでしょうか?

物作りではありませんが、ちょっと修行的なニュアンスもあるかもしれませんが、そこにちょっとヨット道的なニュアンスを持ち込んでも良いのではないかと思います。セーリングに繊細さと、正確さを求める。それがスピードにも繋がる。そういうセーリングがあっても良いかもしれません。

そういうセーリングとピクニックを使い分けて、セーリングにメリハリをきっちり付けるという方法はどうでしょうか?舵を持つ手に伝わるフィーリングを味わい、セール操作におけるヨットの動きのフィーリングを味わい、そのより良いフィーリングを求める。そこに自由自在感を求める。どうでしょうね?

どうも日本人は世界的に見ても異質なようです。それが特徴ならば、グローバリズムとか言って世界標準に合わせるような事しなくても、むしろ、日本人特有の気質を発揮していった方が、良いのではないかと思います。

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